2011年04月08日発行 1177号

【声明 東日本大震災の民主的復興、原発の全面廃止へ共に闘おう 民主主義的社会主義運動(MDS)中央委員会】

 3月11日の東日本大地震から2週間以上が経過した。今なお死者の数は増え続け、安否不明 者と合わせて約3万人にのぼっている。MDSはすべての犠牲者に深く哀悼の意を表明する。

 特に、福島第1原発事故による放射能汚染が拡大し続けていることは重大な問題だ。福島県などの野菜・原乳から放射性物質が基準値を超えて検出され出荷停 止となった。水道水の放射性ヨウ素による汚染は首都圏にまで広がっている。

 SPEEDI(スピーディ、緊急時迅速放射能影響予測)システムによれば、3月24日までに福島原発から放出された放射性ヨウ素の推定量からみて、国際 評価尺度で大事故にあたる「レベル6」に相当し、米スリーマイル島原発事故(レベル5、1979年)を上回る規模になった。局地的には、旧ソ連チェルノブ イリ原発事故(レベル7、1986年)に匹敵する土壌汚染も見つかっている。周辺の土地が長期間使えなくなる恐れがある。そして、現在も福島原発は放射性 物質を放出し続け、いつ止めることができるのか、さらに原子炉(圧力容器・格納容器)の破壊・爆発にすすむのか、だれもわからない暴走を続けている。

 地震と原発事故によって破滅的事態をもたらしている原因は、政府とグローバル資本が原子力エネルギー推進、戦争大国化、新自由主義による地域破壊をすす めてきたことにある。グローバル資本と政府は、「国家安全保障」のかなめに核戦略を位置づけ先進核技術の開発・保持をすすめ、「安全神話」のウソをばらま いてきた。原発被害は自然災害ではなく政治災害である。

 避難所への食糧・医薬品・暖房用石油などの物流がまひし、劣悪な生活が続いている。避難先で死亡する事例も出ている。政府とグローバル資本が、防災・救 援組織、ライフライン、地方自治を弱体化させてきた結果である。自治体のリストラ(平成の大合併)により、岩手、宮城、福島の各県では市町村の数が 34〜51%減り、中心部と周辺部の格差が広がり災害弱者を生み出すことなった。物流マヒは、地震による道路の寸断だけが原因ではない。東北地方の深刻な ガソリン不足は、規制緩和によって石油会社の生産設備削減が地方ですすんだ結果(製油所は95年より4割減、油槽所は7割減)、地震のダメージで安定供給 がもろくも崩れたからだ。

 震災の被害拡大と原発事故は、グローバル資本にまかせていたら社会は破滅するということを示している。復興とは、地震以前に戻ることではなく、原発推 進、戦争大国化、新自由主義と決別し、民主的な地域社会を再構築していくことである。

 民主的復興と原発廃止に向け、以下の取り組みをともにすすめよう。

1 拡大する放射能汚染から生命・健康を守るため、子ども・妊産婦、原発周辺の被災者を安全な場所へと退避させよう。そのために必要な措置を政府・自治体 に要求し実施させよう。

 世界各地から寄せられたお見舞いと激励にお礼申し上げる。今、MDSは一丸となって、震災の民主的復興と原発の全面停止に向けた運動に立ち上がってい る。引き続き国際連帯で闘うことを表明し、お礼と活動の報告としたい。(声明は世界から激励と連帯を寄せた団体、個人に送付された・編集部)

 「ただちに健康に影響はない」と内部被曝や後年になって発生する障害に言及しない「安全」宣伝を繰り返す政府・マスメディアを追及し、正しく危険性を明 らかにし、政府の責任で人命第一の予防・退避策を実施させる。人体に被害を与える放射線量の基準は、これ以下の数値なら安全というものはなく、しかも国家 の核戦略・企業利益のためにゆがめられている。過去の被害事実は、平常値より増えたなら退避すること、汚染された食物を摂取しないことを教えている。

2 安全な飲料水・食物の確保を政府・自治体に要求し実施させよう。被害を受けている農漁業従事者への完全な補償を東京電力・政府に実施させよう。

3 被曝したすべての住民に対し、健康被害への医療保障、生活保障を実施させよう。

4 福島原発事故の復旧にあたって、政府・東電の安全に配慮しない作業命令をやめさせ、すべての原発労働者とりわけ下請け・請負・派遣・非正規労働者の命 と健康を守らせよう。

5 政府・電力会社を追及し、原発を全面的に廃止させよう。原発に代わる環境保全分散型エネルギー(太陽光、風力など)への転換を実現させよう。

 本来、電力エネルギーは地域共同体が民主的にコントロールすべきであり、電力会社への民主的規制を強める運動を地域からつくっていく。

 現在の「計画停電」は、原発に依存した結果もたらされたものであり、これを見直し、他の発電施設の全面稼働、全国からの電力供給体制を実現させる。

 原発を推進する経営者団体・企業、マスメディア、御用学者、連合など労働組合幹部、自治体を追及する。

6 震災・停電を理由とした解雇(雇い止め)、賃金カット、内定取り消しを許さず、労働者の権利を守らせよう。停電による被害を政府・東電に補償させよ う。政府と企業の責任で雇用を安定させよう。

7 中小企業に対し、雇用・経営安定のための特別融資援助などの必要な施策を政府・自治体に要求し、実施させよう。

2011年3月27日

MDS(民主主義的社会主義運動)中央委員会
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