2020年03月27日 1618号
【MDS集会基調講演/コロナ対策を改憲に利用する安倍打倒 市民生活守り民主主義的社会主義へ】
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3月14日阪神集会を皮切りに、全国5会場で「今、戦争・改憲・腐敗と生活破壊の安倍政権を倒すとき─MDS(民主主義的社会主義運動)集会」が開催される。MDS山川よしやす書記長の基調講演要旨を掲載する。
オリンピック最優先
安倍政権は、オリンピック開催のためコロナウィルス感染者を少なく見せることを最優先してきた。ダイヤモンド・プリンセス号でのコロナ感染者出現後、安倍政権は現在に至るまで検査を渋り、検査数は1日900件で韓国の1日1万件と比べて圧倒的に少ない。検査に関する首相答弁もぶれ続けている。オリンピック開催が最優先なのだ。
安倍首相は2月27日、突然全国の小中学校などの休校を表明した。2月25日に発表された「新型コロナウィルス感染症対策の基本方針」では、休校は地方自治体の判断に委ねられていたが、安倍はその方針を覆し全国一斉休校を要請した。
突然の一斉休校は市民の生存権、子どもの教育を受ける権利を否定するものだ。
学童保育は突然の休校に無理やり対応せざるを得なくなり、職員、予算不足に直面する。休校要請時、学童に行けず親が休んでも給料の補償はなかった。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」は母子家庭の半数が一斉休校で収入減と発表。赤石千衣子(ちえこ)理事長は「母子家庭の平均年収は低く、一斉休校が追い打ちをかけている。政府には、企業を通じた補償ではなく、児童扶養手当の上乗せ支給といった直接的な支援策を検討してほしい」と言う(3/7東京新聞)。
【表】に示されるように政府は対策を打ち出したが、一斉休校、企業業績悪化に伴う生活悪化には全く不十分だ。例えば、批判を受け慌てて発表したフリーランスへの補償は日額4100円だ。これでどうやって生活するのか。
安倍政権は、イージスアショア、F35戦闘機、辺野古新基地建設など軍事費には何兆円も支出しながら、市民生活のためには渋る。対策費は諸外国よりはるかに少ない。正規、非正規、フリーランス、自営を問わず、コロナウイルスに伴う生活悪化は100%補償しなければならない。ただちに軍事費を削減し市民の生活保障に向けるべきだ。
コロナ対策で改憲先取り
安倍は「あらゆる可能性を想定し、緊急事態宣言を含め新型インフル特措法と同等の措置を講じることが可能となる立法措置を早急に進めたい」と述べ、立憲民主党も国民民主党も「緊急事態宣言」発令時に国会に事前報告するとの付帯決議のみで賛成した。「緊急事態宣言」を発令させてはならない。
地域住民の健康を守るべき保健所は95年の845か所から19年472か所に削減され、公立病院は統廃合の推進で感染者を入院させる十分な病室が存在しない。大規模開発と軍事費を優先し、民営化を進める新自由主義政策の下、市民の命を守るシステムは解体されていたのだ。市民の命、基本的人権を軽視し、自らの延命と改憲にコロナ対策を利用する安倍政権を許してはならない。
桜を見る会問題、東京高検検事長定年延長問題、コロナ対策で内閣支持率は大きく低下した。安倍応援団の読売新聞、産経新聞の世論調査でも支持を大きく下げている。あまりにもでたらめな安倍の対応に、多くの市民があきれ果てた結果である。
負担はグローバル資本に
アメリカ大統領選予備選挙で、バーニー・サンダースが大きく支持を集めている。彼の政策の重点は「メディケア・フォー・オール」「カレッジ・フォーオール」「グリーン・ニューデール」だ。
「メディケア・フォー・オール」は単一の公的医療保険を創設する政策である。イェール大学などの研究者は、これを実現すれば医療費が年4580億ドル(現行の13・1%)、1世帯当たり2400ドル節約され、また1年あたり現状より6万8500人多く命を救えるとしている。
「カレッジ・フォー・オール」は、高等教育における平等を実現するために、公立大学学費無償化と4500万人の学費ローン2・2兆ドルの債務を取り消す政策である。大学生の45%が食に、56%が住に苦しみ、17%がホームレスの経験があるという現状の中で、「高等教育は少数者の特権ではなくすべての人の権利であるべきである」と宣言する。
「グリーン・ニューディール」によって、100%再生可能なエネルギーに移行する。移行による新規雇用2000万人分からの税収2兆3000億ドル、大企業への課税2兆ドルなどによりこれを実現する。
これらの政策はいずれもアメリカ市民にとって死活的な必要性を持つものである。グローバル資本の抵抗を押し切り、グローバル資本の負担でこれらの政策を実現しようとしているからバーニー・サンダースは支持されるのである。
そしてこれらの政策を実行する中で格差拡大を阻止することができる。
アメリカ社会では格差拡大が続いている。所得最上位層1%の国民所得に占める比率は1980年には10%程度であったのが、現在では20%に達している。これに対し低所得者層50%のそれは、20%から12%にまで下がっている【図1】。
格差拡大はさらに深刻化する方向だ。400人の最富裕層の税負担率は1960年の60%から現在の20%にまで下がり、所得下位50%より税負担率が低くなっている【図2】。
サンダースは、自らの政策実現のための財源をこの高所得者に求める。400人の最富裕層の税負担率は、サンダースの公約では97・5%、バイデンは30・6%、トランプ23%である。バイデンは金持ち優遇の点でトランプと大差はない。
民衆一人ひとりの運動だ
グローバル資本と対決し、民主主義的社会主義を目指すサンダースの立場は明確である。それが多くの若者に支持されたのである。サンダースの政策の呼びかけの最後は、「どんな立派な候補者であろうと一人でトランプと金持ちに挑戦することはできない。我々が勝利する唯一の道はともに闘うことだ。これはあなた方の運動だ」。
市民に働きかけよう。安倍政権ではコロナ対策はできない。「緊急事態宣言」をさせてはならない。すべての市民の生活保障のための直接給付を要求しよう。一斉休校をやめさせ、各自治体の状況に応じて判断させよう。子どもたちの教育を受ける権利、子どもたちの食を保障しよう。コロナに伴う解雇を許さず、雇用を守り抜こう。
新自由主義に基づく福祉、医療、教育切り捨てに反対し闘おう。幼児、初等、中等、高等教育完全無償化を進めよう。医療の完全無償化に前進しよう。消費税を廃止し、市民生活、中小企業を守り抜こう。
サンダースの政策が示すようにグローバル資本に負担させ改革を進めよう。命を守るために軍事費は必要ではなく、医療、福祉拡充が必要である。安倍政権を打倒し、民主主義的社会主義に進もう。 |
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