2020年04月10日 1620号

【1620号主張 命もくらしも奪う緊急事態宣言 十分な検査・治療、個人給付を】

これは人災だ

 新型コロナウイルスは、世界で感染者85万人、死者4万2千人(3/31)と増え続け、医療と経済の複合危機をもたらしている。これほどの深刻な被害は、グローバル資本主義が引き起こした明らかな人災だ。

 中国政府の隠ぺいと初期対応の失敗がウイルスを世界に広げた。アメリカ、イタリア、スペインの感染者、死者の急拡大は、新自由主義の医療費削減がもたらした医療崩壊そのものだ。2008年リーマンショック時以上の経済、生活破壊をもたらすことは確実で、収束もまったく見通せない。

 日本の被害拡大は安倍政権の失政による。「ぎりぎり持ちこたえている」とは、対応の失敗隠しと五輪のための検査制限で感染実態を少なく見せてきたものにすぎない。帰国者・接触者相談センターへの相談は全国28万件を超えるが、検査したのは約1万件のみ(3/27現在)。不審な肺炎死も十分調べず情報開示はない。感染は公式発表以上に進行し、市民の命と生活を深刻な危機に追いやっている。

命を守らない「宣言」

 「都市封鎖(ロックダウン)」「緊急事態宣言」を安倍や小池都知事らが口にし、新型コロナ特措法に基づく対策本部が設置された。いつでも「宣言」可能となった。一部野党議員、マスコミが自粛では生ぬるいとあおる危険な状況だ。

 「緊急事態宣言」という強権手法が感染拡大防止につながらないことは、ニューヨークの実態が示している。ニューヨークでは非常事態宣言以降、感染者、死者が急増。原因は検査体制の不備、スタッフをはじめマスク、人工呼吸器等の不足で医療崩壊をおこしているのだ。州兵と軍医を動員しても歯止めがかからない。

 東京都なども同様の事態となりうる。すでに陽性患者を隔離する病床は足りず、人工呼吸器を必要としない者は退院に追いやられるなど、医療崩壊寸前の事態となっている。今重要なのは、公費を投入し、必要な人すべてに検査を行い、十分な治療と病床拡大の体制をつくることだ。

市民生活を守る闘いを

 緊急事態宣言となれば、いっそう経済は破壊され、雇用と市民生活はどん底に突き落とされる。百害あって一利なしだ。

 「コロナとの戦いは長期戦を覚悟」(3/28)と安倍首相は会見で口にした。口を開けばウソを言う安倍だが、事態が長期にわたることは確実だ。安倍政権の非科学的場当たり的な対応をこれ以上許してはならない。命と生活を守る粘り強い闘いが求められる。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける「十分な検査・医療と生活保障、休業補償を求める緊急署名」で地域から要求を束ねよう。4月17日緊急中央要請行動に取り組もう。

   (3月31日)
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