2023年05月26日 1773号
(実発行日 5月19日)

【1773号主張/平和を脅かすG7サミット 戦争のために広島使うな】

広島を政治利用

 5月19〜21日、G7(主要7か国)サミットが広島で開幕する。ロシアによるウクライナ侵攻から1年3か月。G7加盟国にウクライナ支援疲れ≠熾\れる中、岸田首相はウクライナへの支援体制再構築を通じて軍事同盟拡大強化を狙う。

 欧米諸国の軍事同盟・NATO(北大西洋条約機構)のストルテンベルグ事務総長は、アジア初の連絡事務所の東京設置に向け日本政府と協議中と表明。軍事費2倍化など、G7各国の中でも日本の軍事大国化の動きは突出している。

 発足直後から、核共有や「台湾有事」を想定した避難シェルターの設置まで公然と議論してきた岸田政権。首相地元選挙区である被爆地・広島の政治利用すらいとわない。

 岸田は、韓国との間でも、徴用工問題の賠償を韓国側に押しつけ、当事者不在の「解決策」で戦争責任を回避する。福島原発事故汚染水放出にも同意取り付けを狙う。韓国尹(ユン)大統領のG7招待はその総仕上げだ。広島・全国の市民はこのG7にノーの声を上げる。

亀裂深まるG7

 しかし、こうした岸田政権の策動はあちこちで反発に直面し亀裂が生じている。

 ロシア・ウクライナと政治的・経済的に関係の深い中国政府は、両国や独仏に特使を派遣し和平を模索。NATO東京連絡事務所開設を「アジアに突き刺さる毒々しい棘(とげ)」と非難した。米タイム誌は岸田を表紙に載せ「日本を真の軍事大国にしたいと望んでいる」と紹介。慌てた日本政府は抗議し見出しを書き換えさせるなど策動した。だが、日本がウクライナ停戦の妨害者であり異常な大軍拡を進めていることは、国際的にも批判されつつある。

 米バイデン政権も、国内での債務上限問題で窮地に追い込まれている。米政府債務が膨らんでいる最大の理由は、ウクライナ戦争と史上最大の軍事予算だ。このまま軍事支援と大軍拡を続ければ、米ドルの信頼性はさらに低下し、経済危機が米国を襲う。欧米で相次ぐ銀行の経営破綻はその明らかな予兆である。

市民は戦争・軍拡NO

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は5月27日〜6月4日、全国8会場でスピーキングツアー集会を開催する。沖縄・琉球弧の島々で軍事化に反対してきた8人のゲストを招請し、闘いへの連帯を訴える。DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)や韓国からも連帯メッセージが寄せられる。

 軍事化は沖縄だけの問題ではない。全国で急速に戦争体制が強まる今だからこそスピーキングツアーの意義は大きい。沖縄、韓国、米国そして全国の民衆の連帯で軍事化阻止の声を広げよう。G7軍事同盟強化を阻み、ウクライナ停戦を実現しよう。

 (5月15日)
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