2024年08月02日 1832号
【たんぽぽのように/平和な共存を望む在日コリアン/李真革】
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朝鮮半島情勢が危うい局面に変わっている。
朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が南北関係を「同族、同質関係ではない敵対的関係」と規定し、大韓民国(韓国)を「第一の敵対国として不変の主敵」とした後、対北チラシ散布に対抗して「汚物風船」が南に飛び、対北拡声器放送が再開された。
このような対立は米・ソ冷戦終結以後、最も敵対的だと言っても過言ではない。南北の間には一体としての対話が消え、お互いを「主敵」と呼び、すぐにでも戦争をする態勢だ。このような状況は、朝鮮半島に住んでいる人々だけでなく、隣国や関連する諸国の人々にも大きな不幸を迫ってくる。
すでに80余年近く不幸と痛みを経験した人々はあまりにも多い。
朝鮮半島の分断は、同じ民族の中に「敵味方」の対立をもたらし、家族さえも引き裂いてしまい、いまだに会えない離散家族も多い。また、日本社会では「見えない38度線」として作用し、在日コリアンが本国政治に翻弄(ほんろう)され、互いに対立してきた。北への「帰国事業」の悲劇と、南に将来を夢見て渡りながら「北のスパイ」として政治犯とされ未来を奪われた「在日良心囚」の悲劇も、依然治癒できていない。
「戦争」とは、ある日突然起きるものではない。分断された社会の下で差別や人権侵害、貧困や尊厳の軽視がはびこり、国家のために敵対勢力を打ち倒すことが「愛国心」であると煽られ、人として当然に保障されるべき人権も敵には認められないものとして、市民の市民に対する惨劇がくり広げられるのである。
すでに日本では、過去の歴史否定や歪曲(わいきょく)、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムがおこっており、日々、在日コリアンは緊張を強いられている。このような状況の下で、朝鮮半島で戦争が勃発したときには、在日コリアンは南北両政府と日本から「敵」につながるものとして排除と攻撃の対象とされるしかない。
戦争の時代を迎えている今だからこそ、朝鮮半島で再び戦争が起こらないようにする決意が南北両政府に求められている。そのために朝鮮半島の平和統一という原則と理念を南北両政府が掲げ続けることを強く望む。また、二度と朝鮮半島で戦争が起こらないことを望む日本の市民や在日コリアンなどすべての人々の行動を求める。(筆者は市民活動家、京都在住) |
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