2024年08月09日 1833号

【みるよむ(703)/2024年7月27日配信/イラク労働者の苦しみとメーデー】

 2024年5月1日、イラクでもメーデーを迎えた。しかし、1400万人のイラク労働者のほとんどが基本的な権利を保障されていない。サナテレビはそのような労働者の抱える苦しみに焦点を当てた。

 映像は、建築現場などで働く労働者の姿を映し出す。みんな懸命に働いている。しかし、よく見ると、深い穴があったり重たい物を扱うなど労働災害につながりかねない状況で働いている労働者も多い。談笑している額に大きなガーゼが張られていたりする。

 サナテレビによると、イラク労働者の大半は「基本的な安全対策が欠如している」という。2023年の最初の半年で労働災害に遭ったのは580人とされるが、労災保険制度の未登録者はその10倍になる。政府が対策を真剣に行っているとは思えない。さらに、労働者は長時間労働を強いられている。法律上は1日8時間労働だが、実際の労働時間は12時間以上になる。

 長年働いても、企業に社会保障のための基金制度への登録を拒否される労働者がきわめて多数にのぼっている。600万人いる民間労働者のうち、この社会保障基金に登録されているのは60万人にすぎない。90%が未登録なのだ。

労災でも権利保障なし

 大半の労働者は低賃金と物価高のために社会保障基金を払えない。労災にあっても、何の権利も社会保障もない。この状況は公的部門でも大差はない。

 イラクではグローバル資本とそれを代弁する政府が長時間労働と低賃金の政策を労働者に押し付けている。サナテレビは、メーデーを始めとして世界の労働者が長年の闘いで勝ち取ってきた生活と健康を保障する制度を紹介している。

 番組は、イラクの労働者が自ら立ち上がって生活できる賃金と労働時間短縮を求める闘いを進めようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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