2024年08月16日 1834号

【読書室/公園の木はなぜ切られるのか 都市公園とPPP/PFI/尾林芳匡・中川勝之著 自治体研究社 900円(税990円)/元凶は公よりも金儲けの民営化路線】

 東京都知事選でも争点となった明治神宮外苑の再開発にともなう樹木伐採計画。本書は、その背景に、政府―小池都政が進めるPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ=官民連携)推進政策があることを明らかにしている。

 PPPは、新自由主義の政策として自治体民営化を進める政策である。これまでも公共サービスに民間の資金とノウハウを積極的に導入していくとして、公共施設の指定管理制度や水道、学校給食など公共サービスの民間委託など様々な形態で進められてきた。

 このPPPをさらに推し進めるために制定されたのがPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ=民間資本主導)法である。PFI法は公共施設などの設計、管理、運営を民間事業者に任せるもので、そこから得られる利益は企業のものとなる。公園整備については都市公園法にPFI条項が追加され(公園PFI)、公園事業に企業の参入が可能となった。

 委託された企業は公園を設計し、管理、運営権を20年間持ち、事業収益を得ることができ、自治体は経費節約が期待できるとされる。しかし、事業者とりわけゼネコンなど大手企業は、利益の追求をまず優先するため、維持管理の費用の節約を理由に公園樹木をなるべく減らそうと伐採する。

 神宮外苑の樹木伐採だけでなく、大阪維新市政の街路樹伐採、天王寺公園有料化など利益至上の施策は各地で進んでいる。

 市民生活に不可欠の公共事業・公的施設の民営化は、住民のニーズや民意よりも企業の利潤を最優先する地方自治破壊への道である。市民自治の力でPPP推進政策と対決しよう。(N)
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