2024年08月16日 1834号
【子ども脱被ばく裁判の会が最高裁行動/弁論 公正な審理を】
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子ども脱被ばく裁判の会は7月29日、最高裁に弁論開始と公正審理を求め、この日までに集まった502通のハガキを届けた。福島在住の原告・佐藤美香さんは「最高裁は口頭弁論を開き私たちと直接会って声を聞いてください」と訴えた。
最高裁の会議室に入った17人が一人ひとり意見。井戸謙一弁護士は原判決の誤りを説明し、「行政の予防対策の不備で子どもたちが被ばく。無用な被ばくを受けない権利、自己決定権を主張したが何も判断しなかった」と弁論開始を求めた。
会共同代表の水戸喜世子さんは「自治体の安全確保義務が問われ賠償支払いを命じた判決があるが、学校環境衛生基準に放射性物質に関する定めがない。法で実現してほしい」と要請。関西からの参加者は「弱者救済のために最高裁は動いて」「命を守るのが司法の責任」と、司法の劣化への危機感をぶつけた。会共同代表の今野寿美雄さんは「(6・17判決に関わった)草野耕一判事は利害関係にあり公正な判断はできない」と外すことを求めた。ハガキ行動は引き続き行われる。
避難者住宅追い出し訴訟からも支援者が参加し、「福島県には避難者追い出しを訴える資格がない」と要請。住宅追い出しを許さない会の小川正明事務局長は「福島地裁、仙台高裁の闘いでは子ども裁判から多く支援いただいた。6・17最高裁包囲行動で、さらに共同していく連帯感が広がった。同じ第2小法廷なので共に闘いたい」と語った。
最高裁2判事の訴追を請求
2年前の6月17日、「国に責任はない」とする最高裁判決を書いた判事2人は罷免に値するとして8月1日、原発賠償訴訟原告や弁護士、ジャーナリストら10人が国会の裁判官訴追委員会に訴追するよう請求した。
当時の最高裁第2小法廷の判事4人のうち、退職者と反対意見を書いた三浦守判事を除く、草野耕一判事と岡村和美判事が対象だ。
理由は、判決が民事訴訟法の基本原則から逸脱しているから、というもの。原審に差し戻さず原判決で確定した事実とは異なる事実を認定して、「国に責任はない」とした点だ。民事訴訟法の定める原則や手続きには、裁判所は当事者が主張していない事実を認定してはならない、最高裁は法律審であり独自に事実認定してはならない、原判決を破棄するときは原審に差し戻さなければならない―などがある。
しかし同法には、そのルール違反を是正する手続きがなく、ルールを破った最高裁判事に対しては弾劾裁判で罷免するしかない。小野寺利孝弁護士は「今回の訴追請求は6・17判決をコピペして済ませている下級審判事たちへの警告にもなる」と述べた。 |
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