2024年09月13日 1837号

【みるよむ(705)2024年8月10日配信/公正な賃金を要求するイラク労働者】

 イラクでは公務員の中でも、民間部門でも、賃金の格差が広がっている。多くの労働者が低賃金のために生活できない。2024年5月、サナテレビはこの問題に焦点を当てた。

 レポーターが実態を説明する。政府部門では、社会サービス関係の公務員の賃金は月30万ディナール(約3万円)にすぎない。これでは電気や水道料金の支払いさえままならない。

 一方、大臣や三権の長、国会議員や高級官僚は高給取りだ。国会議員の給与は月額4500万ディナール(約450万円)という。これは、一般公務員労働者の150倍にあたり、年収5400万円にもなる。米国や欧州、日本の議員報酬と比べても相当高い。

 イラクの労働者、市民らは、国会議員の高額報酬の削減を要求し、労働者の賃金水準の引き上げを求める闘いを組織している。

 賃上げ要求デモでは「我々は黙っていない/我々の要求は、公平な賃金体系に改正することだ」といったスローガンを掲げ、要求を突きつけている。

全土でデモ ストライキ

 サナテレビはさらに、南部の「バスラのファーウ地区労働者はストライキを行った」「ナシリヤ市のハブービ広場にも多くの労働者が集まり、賃上げと賃金水準の修正を要求した」。南東部の「メイサン州でも農業総局の職員と労働者が賃金水準の改善を求めてデモを行った」と全土で労働者が立ち上がっていることを伝える。「今日はデモがあり、家の前でストライキが行われている」と書かれた横断幕から、闘いの意気込みが伝わってくる。

 腐敗した国会議員やごく一部の官僚の高給に対し、公務員労働者も民間労働者も生活できないほどの低賃金に苦しめられている。サナテレビは、公正な賃金体系を要求し、ストライキなどの闘いによって実現しようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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