2024年09月20日 1838号

【ミリタリー/宮森小学校米軍機墜落65年 沖縄国際大学米軍ヘリ墜落20年/必ず犠牲つくりだす軍事優先】

 1959年6月30日、沖縄県うるま市(旧石川市)の宮森小学校と周辺地域に米軍戦闘機が墜落し、児童12人を含む18人が死亡、210人が重軽傷を負った沖縄の戦後最大の米軍機による事件から65年。2004年8月13日に宜野湾市の沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した事件から20年。

 この2つの事件は、沖縄の住民が日米両政府による軍事優先、住民無視の無責任な政策で日常的に命と平和な生活を脅かされていることを如実に示す象徴的な事件であった。

 今日に至るまで、米軍がらみの事件、「事故」は繰り返し発生し続けている。日米両政府が、繰り返される事件の原因や背景に真摯に向き合わず、責任の所在を明らかにしないからだ。

 宮森小への墜落事件では、40年後に公開された米軍資料によれば墜落の原因はエンジンの整備不良やパイロットの技量不足によるものとされている。だが、児童ら228人が死傷したにもかかわらず、パイロットや米軍当局者は「(人口の多い)コザを避けた」と逆に評価する始末であった。墜落前にパラシュートで脱出したパイロットは、責任を問われず軍法会議にもかけられなかった。

 沖国大への墜落は、街のど真ん中に世界一危険≠ネ基地があるその危険性を認識しながら米軍は整備不良のヘリを飛ばした。沖縄県警は、航空危険行為処罰法違反の疑いで米軍の整備士4人を送検する方針だったが、米側から氏名通知を拒否されたため被疑者不詳のまま書類送検。その後、不起訴処分となった。

 昨年11月鹿児島県屋久島沖のCV22オスプレイ墜落事故を巡り、米空軍は8月に調査報告書を公表した。

オスプレイ事故も不問

 「変速機の破損」を一因として説明したが、変速機がなぜ破損という故障につながったのかという根本的な原因には言及していない。

 この件に関し、AP通信は8月6日、オスプレイのエンジンと回転翼をつなぐ変速機の故障が過去5年間で60件報告されていたと伝えた。うち少なくとも41件で破損の兆候があった。過去10年間で修理のため機体から取り外された変速機は609個に上るという。

 米軍と陸上自衛隊は今年3月にオスプレイ飛行を再開した。その際、防衛省の担当者は、オスプレイ自体の設計と構造に「問題はない」と強調。「まれな不具合で今回の事故と同じ現象で起きた事故は把握していない」とも述べていた。

 この無責任な姿勢と「安全保障のためには多少の犠牲は仕方ない」とする軍事優先姿勢が事件の根本原因であることを今こそはっきりさせなければならない。

 豆多敏紀
 平和と生活をむすぶ会

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