2024年09月27日 1839号
【DSAアーメド・フセインさんに聞く(2)/若者が自らを取り戻す道−/「政治に無関心になった時、敗者は『あなた』です」】
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2024ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)に参加したDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)アーメド・フセインさんに、若者が広く結集しているDSAの経験から、日本の若者が希望を見い出す道筋についてたずねた。(7月31日、那覇市にて。まとめは編集部)
Q 日本の若者たちへ、民主主義的社会主義をどのように呼びかけますか?
来日してから私は、日本では特に若い人たちが政治に関心を持っていない、という話を聞きました。それは私にとっては、全く考えられないことです。世界中の若い労働者階級は、政治的な意識が高まっているのが一般的だからです。
日本で、政治に関わることに嫌悪感を持たれる風潮は、まさにプロパガンダ(政治的宣伝)によって植えつけられたものなのです。
沖縄の活動家から、若い人たちはダブルワーク、トリプルワークをしていて、政治に関わる時間が持てないという話を聞きました。けれど、2つ以上の仕事をかけもちしなくてはならないこと自体が、まさに政治に起因する問題なのです。
現実の問題に焦点を
私たち組織する側の人間は、若者が置かれている現実を見据える必要があります。仕事に追われる状況は、若者の生活に悪影響を与える問題であるだけではなく、人びとの生活すべてが政治にコントロールされているという問題でもあるのです。
私たちは、この状況から抜け出すための、建設的な方針を考え、示さなければなりません。
より良い労働条件や労働者の保護、健康保険の確保など。金銭的保障を含めて展望を持った方針を示すことができれば、若者の支持を得ることができ、みんなの勝利へとつなげていくことができます。
日本のどこかで勝利する実例をつくることができれば、その成果は非常に大きく、急速な運動へと発展していくことでしょう。
大阪では住宅を購入するのに10年分の給与が必要で家賃も高いと聞きました。
若者が、こんな大変な状況の中で生活を続けることに、絶望を感じるのは当然のことです。若者が異世界へ転生してみたいと考えたりするのも当然のことです。日本の若者は「多くの問題があり希望がない」と言います。
まずは家賃保護、手頃な価格の住宅確保から始めて、若者が貯金を始められるようにするべきです。それにより若者の生活はすぐに改善していくことでしょう。
これは日本の若者の心に訴える、最も差し迫った希望に満ちた方針の一つです。
若者の安定が変革への道
パレスチナ問題や辺野古の問題から語りかけたとしても、若者は関心を持ち共感してくれるかもしれません。しかし、自らの生活が不安定で、希望が持てない状況では、他の社会問題に希望を持つことは難しいのです。
だからこそ、若者の生活に安定をもたらし、若者が社会で闘うことを学び、若者と連帯して立つことが必要です。そうすれば、若者もあなたと一緒に立ち上がることでしょう。
Q 民主主義的社会主義の社会へ発展するためには?
社会主義者として、私たちが立ち向かわなければならない問題は2つあります。
他のすべての問題は、この2つから派生しています。
一つ目は“あきらめ”です。
労働者階級は徹底的に追い詰められ、破壊され、打ちのめされてきたため、より良い生活や希望を想像することさえ難しくなっています。そのため、MDS(民主主義的社会主義運動)やDSAに組織しようとしたり、活動への参加を促したりした時、その会話の中で相手は怒り出すこともあります。
なぜなら“絶対に変えられるわけがない”という敗北主義は、非常に快適な$S理状態だからです。もしも自分自身に、状況を良くすることはできないと“あきらめ”てしまえば、改善するための努力をしなくても済むからです。
だから若者に、その“あきらめ”を克服するために挑戦すれば、生活を改善することは可能で、勝利できること、状況が良くなることを、確信させる必要があります。
政治を取り戻そう
二つ目は“脱政治化”の問題です。
アメリカの支配階級とメディアは、数十年にわたるプロパガンダを通じて、政治とは▽LGBTQの権利▽中絶▽医療保険などについて議論することだ、と人びとに信じ込ませてきました。支配階級とメディアは、「政治は答えのないどうどうめぐりの議論である」と人びとに信じ込ませてきました。
これが、同じコインの裏表であることを、改めて確認しましょう。
つまり、私たちが挑戦すべきことは▽人びとの生活と生きるための選択のすべてが政治的で▽彼ら彼女らが受ける利益や苦しみのすべてが他の誰かによってなされた政治の選択である―これを人びとに納得させることです。
例えば、誰かが2つ以上の仕事を掛け持ちしている状況は、偶然に起きているのではなく、それは政治が引き起こした問題だと明確に批判することです。
“あきらめ”と結びつくことの多い、これらの対立点を拾い上げ、その問題を焦点化して矛盾を見える化し、市民の政治的な意識をめざめさせ高めていく必要があります。
ガザでの戦争や虐殺は、中東が常に戦争をしているから仕方のない悲しいことではなく、「あなた」自身の生活においても、政治的な選択であることを理解してもらうことです。
生活のすべてが政治的であることを、理解させることが重要です。
* * *
政治は悪いものではありません。
そして、政治に無関心になった時、唯一の敗者は「あなた」なのです。
もしも「あなた」が政治の課題と闘わなければ、政治家やグローバル資本が、「あなた」の生活から搾取する政治を、ほしいままに進めるだけなのですから。 (続く)
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