2024年09月27日 1839号

【子ども甲状腺がん裁判 傍聴券求め200人以上 UNSCEARのウソ明らかに】

 311子ども甲状腺がん裁判は9月11日、東京地裁で第11回口頭弁論が行われ、傍聴券を求め若い支援者らを含む207人が並んだ。

 弁論では、甲状腺の半分を摘出した原告の1人が証言。「福島原発事故から半径100`圏内に住んでいた。自分の住む地域が高線量だと思っておらず、30〜40分かけて自転車で通学や買い物に出かけた。原発の方角を向いた窓を換気のため開けていた。目の前の道路を自動車が通るたび、地面から粉じんが巻き上げられていた」と当時の被ばく状況を語る。「甲状腺がんと診断された時点で10・6_だったがんは手術時には11・6_になっていた。手術後は麻酔が切れると傷口が痛んだ。再発、転移のことを考えないようにして自分の精神状態を保った」。緊張しているものの、堂々と落ち着いた陳述だ。

 「原告7人を見ると、県民健康調査1巡目でがんと診断されたケースもあれば4巡目まで異常なしだったケースもある」。田辺保雄弁護士は、原発事故との「因果関係否定派」が根拠としているいわゆる「過剰診断論」(過剰な検査をした結果、見つける必要のない甲状腺がんまで見つけたとする非科学的「理論」)をデータに基づき否定した。

 只野靖弁護士は「福島県紅葉山に設置されたモニタリングポストのデータを解析すれば、甲状腺がんの原因である放射性ヨウ素131をはじめ、環境中に放出された核種が特定できるにもかかわらず、UNSCEAR(アンスケア 国連科学委員会)はその手法を否定。放射線測定目的で設置されているわけではないSPM(大気中浮遊物)測定局の濾紙(ろし)で測定された放射性セシウム137の推定値を使用した」と指摘。原発事故と甲状腺がんの因果関係を否定するためならどんなごまかしでも行うUNSCEARの「非科学委員会」ぶりが明らかにされた。

市民の支援に手応え

 報告集会では「裁判は、進むにつれて傍聴者が減るのが一般的だが、11回目の今回、逆に傍聴希望者が増え、200人を超えた」と報告があった。この裁判に対する市民の強い関心と支持に手応えを感じている様子がうかがえる。

 「1人の被害者も泣き寝入りさせないため、原発事故が起きたら被害との因果関係があるものと推定すべき」との法学者・我妻栄の言葉を引き、電力会社に原発事故の全面かつ無過失責任を負わせた原子力損害賠償法の成立の経緯が井戸謙一弁護士から紹介された。



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