2024年10月25日 1843号

【みるよむ(709)2024年10月12日配信:イラクで広がる残存地雷の被害/数十年の戦争被害は今も続く】

 イラクでは、たび重なる戦争の結果、広大な地域に地雷や爆弾類が残存する。それらは環境を破壊し、多数の人命を奪い続けている。6月、サナテレビはこの問題に焦点を当て報道した。

 レポーターは「イラクは戦争残存物によって最も汚染された国」と述べる。その典型が地雷だ。イラクには、3200平方`bの土地に5千万個の地雷と戦争残存物が散らばっている。その爆発で、これまでに1万人以上が死亡し、2万4千人が負傷している。

 こうした危険物は一体どこから来たのだろうか。

 最近では、2014年から2017年にかけて、いわゆる「イスラム国」が軍事支配し戦闘が続いた北部のモスル旧市街、サラーハディン、キルクークなどに戦争の残存物が多数ある。

 40年前のイラン・イラク戦争(1980〜1988年)によるものは、イランと国境を接した南部に多い。イラク第2の都市バスラは、地雷の残存分布率が最も高い。1200平方`bにわたり、地雷、クラスター爆弾などが放置されている。

 日本でも、沖縄をはじめ各地で80年前の空襲などの不発弾が発見され除去作業が行われている。旧日本軍飛行場であった宮崎空港で不発弾が爆発したことは記憶に新しい。また、今もイスラエルがパレスチナ、レバノンに膨大な量の爆弾を投下している。たとえただちに空爆を終わらせても、不発弾は間違いなく多数残され、さらに犠牲を生む。

不発弾処理にまで汚職

 サナテレビは、この不発弾類の処理事業にも汚職が発生していることを伝え、戦争後も続くイラクの社会の問題点を浮き彫りにする。

 2003年のイラク戦争だけでなく数十年間にわたる戦争は、残存地雷の問題一つをとっても深刻な傷跡を作り出しているのだ。

 サナテレビは市民が声を上げ対策を早急に取らせようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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