2025年01月31日 1856号
【「台湾有事」「朝鮮半島有事」NOパレスチナ ウクライナ即時停戦!/2.16国際オンライパネル/戦争を止める市民のネットワークを】
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ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)とZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)が戦争に反対する市民のネットワークをつくろうと、2月16日、国際オンラインパネルを開催する。欧州でのウクライナ戦争、中東でのパレスチナジェノサイド、そして東アジアでの軍事緊張の高まりの中で、平和を求める国際連帯の闘いが今ほど重要な時はない。世界中に軍事緊張を作り出した米政権が交代する時期にあって、沖縄・米国・韓国・台湾から、最新の情勢と闘いが報告される。パレスチナ現地からPPSF(パレスチナ人民闘争戦線)の連帯メッセージ、日本各地の反基地の運動を知ることができる。
米国/アジア軍事化を阻止
米国のパネリストはDSA国際委員会運営委員ロナルド・ジョセフさん。「トランプ政権下アジアにおける軍事化との闘い」と題して報告する。
バイデン前政権は2022年の国家安全保障戦略で中国を「唯一の競争相手」と位置づけ、軍事的圧力を加えてきた。
トランプが1期目に創設した宇宙軍は、インド太平洋軍司令部のもとに、22年在韓米軍、24年在日米軍にも司令部を構え、韓国軍、自衛隊もあわせて宇宙軍を整備している。トランプ2期目も中国との経済覇権争いを有利に進めるために軍事的圧力を強化することは、バイデン前政権と大きく変わることはない。
DSA国際委員会は、アジア太平洋での米軍基地撤去の闘いを進めている。22年にはハワイ、グアム、フィリピン、韓国の反基地活動家、日本からZHAPが参加してオンラインパネルを開催している。今回の国際オンラインパネルで、DSAの闘いの蓄積と方針に触れることができる。
台湾/軍事挑発許すな
「中国脅威論」の材料となっている「台湾有事」。その実態と軍事化に反対する報告を台湾から労働党ツァン・ルーシンさんが行う。
昨年5月、台湾総統に就任した民進党頼清徳(ライチンテ)は、台湾独立論を再三主張し、中国を挑発している。就任後すぐ総統直属の「全民防衛委員会」をつくり、国民動員計画など戦争準備にあたらせている。
台湾の軍事費はGDPの2・6%。トランプは大統領選の最中に、「10%まで引き上げるべきだ」と発言している。仮に10%となれば、国家予算の実に85%が軍事費となり市民生活は危機に瀕する。
台湾では労働運動や社会運動団体が昨年11月、「平和、戦争反対」を主要なスローガンに「秋闘(チュトゥ)」を行った。
頼総統は韓国の戒厳令を支持した。軍事緊張の高まりが台湾国内の民主的運動を弾圧する手段となっていることは間違いない。中国との民主的交渉による平和的統一をめざす台湾国内での闘いの報告が期待される。
韓国/反戒厳令と反基地
韓国からは、群山(クンサン)セマングム新空港白紙化闘争の活動家キム・ヨンテさんが「非常戒厳令との闘いと韓国の反基地闘争」を報告する。
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は非常戒厳の宣布で、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を名指しし「共産勢力の脅威」から国を守るために「従北反国家勢力を排除するためだ」と語った。韓国では「朝鮮半島有事」が民主化運動の弾圧に利用されてきた歴史がある。
尹政権は昨年10月、停戦ラインを越え、無人機を平壌(ピョンヤン)上空に侵入させ、政治宣伝ビラを散布するなど、朝鮮に対する挑発を行っている。支持率低下を挽回するために「朝鮮の脅威」、非常戒厳が準備されてきたと言える。
尹錫悦退陣運動本部が呼びかけた国民投票には、11月5日時点で20万票以上が集まっていた。全国公務員組合、全国教職員労働組合や全国民主労働組合総連合などの労働組合の闘いとともに、各地での反基地闘争が尹政権を追いつめていた。
群山セマングム新空港の白紙化を求める闘いをはじめ、釜山(プサン)、済州(チェジュ)でも滑走路の新増設を軍事基地強化と一体のものとして反対運動が起こっている。星州(ソンジュ)のTHAAD(サード)ミサイル基地反対闘争と同様、地域からの闘いが作られている。尹大統領弾劾から社会変革へつなぐ民衆の闘いが聞ける。
沖縄/戦争準備に抗う
沖縄からは、ノーモア沖縄戦 命(ぬち)どぅ宝の会事務局長新垣邦雄さんが「戦争準備に抗う沖縄―日本―アジアの市民連帯」と題して報告する。
沖縄・琉球弧の島々から九州・薩南列島にかけたミサイル基地建設が急ピッチで進んでいる。米軍と一体化をはかる自衛隊の基地強化がすさまじい。中国本土を直接攻撃することを意味する「敵基地攻撃能力」の保持が公然と掲げられる。中国との全面戦争を想定した日本列島全般にわたる基地「強靭化」、司令部地下化、弾薬庫増設は市民の犠牲を織り込んだ戦争準備そのものだ。
この動きに対し、沖縄が呼びかけた反基地運動の市民ネットワークづくりが進んでいる。昨年11月、大分県での交流集会を踏まえ、2月22日には鹿児島県で「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」が発足集会が開催される。
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イスラエルの犯罪行為が一時的にも止まった。米トランプ政権がもたらしたかのような報道があるが、決してそうではない。世界中でジェノサイドに反対する市民の闘いが戦争勢力への圧力になっているからだ。
帝国主義諸国が植民地を奪い合った20世紀初頭から100年以上経つ。今また、グローバル資本は領土(市場)拡張と戦争に利益を見出している。だが100年前と違い、平和を求める市民が世界中に存在していることをリアルタイムで知ることができる。武器を捨てろ、戦争をするな。国際連帯のネットワークをより広く、より強固にしなければならない。
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