2025年01月31日 1856号
【「原発最大限活用」と対抗する再エネ転換/国の責任問う617最高裁共同行動へ/ZENKO反原発分科会実行委員会】
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ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)反原発分科会実行委員会は毎月、オンライン会議を行っている。GX(グリーントランスフォーメーション)法、第7次エネルギー基本計画で原発再稼働・新増設の動きが強まる中、運動の焦点、共同闘争の方針について寄稿してもらった。
1月7日の実行委員会は、第7次エネルギー基本計画の評価をめぐって議論した。
基本計画は原発の「最大限活用」を打ち出した。理由は、低コスト、AI需要の増大、安定供給などだが、デマ・ごまかしによる世論誘導としか思えない内容だ。今や太陽光電力は原発のコストを下回り、電力総需要予測では2050年の最大値試算でも年0・3%増。ウランは海外輸入で原発こそ不安定要素だ。参加者からは「気候ネットワーク・原子力資料情報センターの数値を参考に批判しよう。『アルプス処理水も安全確認』『安全性確保はすべてに優先』と書いてある。それなら“ぜひ守ってほしい“と追及する必要がある」。「電力需要がそんなに増えるのか検証が必要だ。省エネ、人口減の中、需要はたいして増えないはずだ」
福島原発事故後の2013年から2015年、国内では原発が1基も動いていなかった。議論では「その間、再生可能エネルギーへの抜本的転換を強く押し出さなかった結果として、CO2削減を口実に原発復活が全面に出てきた」「運動の側の弱点ではないのか」と反省点が出された。第7次エネ計画では再エネ構成比50%を目指すとあるが、15年後の目標値は80%を目指すのが世界の流れ。「ドイツでできて日本ではなぜできないのか」「再エネ80%目標数値をはっきり示した運動を」の声が上がった。
焦点の柏崎刈羽原発
当面の課題では、全国で一斉に進む再稼働との闘いが議論された。焦点はこの4月にも再稼働が狙われている柏崎刈羽原発だ。福島事故の加害当事者・東京電力の経営であり、この再稼働は特段の意味をもつ。再稼働の是非を問う県民投票条例制定署名は全有権者の1割、14万筆を超えた。3月に花角(はなずみ)県知事に提出され、4月県議会で投票条例案の取り扱いが決まる。「知事は『みなさんに信を問う』と言ってきた。『提案してください』の葉書・ファクスを」「県議会にも『民意を尊重してください』のファクスを全国から出していこう」など、県外からもやっていくことを決めた。
GX法強行、原発最大限活用の背景には“原発事故の国の責任なし“とした2年前の617最高裁不当判決がある。損害賠償裁判にとどまらず、刑事裁判、放射能健康被ばく裁判、住宅追い出し裁判などにも悪影響を及ぼす。他方、原発課題にとどまらない司法の独立を勝ち取る運動の広がりがあり、これと連帯する意義が確認された。
6・16に再び最高裁包囲
国の責任を明確にさせ司法の独立をめざす617最高裁共同行動2025実行委員会の事務局長・村田弘さんは「安保法違憲訴訟や生活保護基準引き下げ違憲訴訟なども実行委に参加し、現在23団体に拡大。今年の6月16日には再び最高裁を大きな規模で包囲したい。前日の15日には講演・シンポやデモを考えている。今最高裁に上がっている各訴訟が仮に棄却されても、裁判だけが闘争ではなく、あきらめずに徹底して抗議行動を続ける。『子ども被災者支援法』の中身を詰め、立法府にも働きかけたい」と呼びかけた。次回実行委は1月28日に開かれ具体的な行動が決められる。
「最高裁第1小法廷で闘っている。毎月地域で『原発事故の国の責任をとれ、再稼働反対』の声をあげて、6月共同行動に向かっていきたい」(千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会)「6月行動には関西からも参加したい」(関電前プロジェクト)「企画や準備など617実行委を支えて成功させたい」など、それぞれの団体での活動を基盤に6月行動に集約していく方向性が共有された。
また、京都訴訟原告からは「沖縄・矢ケ崎克馬先生などから今後健康被害で訴える動きが出ている。子宮摘出となったり甲状腺がんで亡くなった原告もいる。311子ども甲状腺がん裁判とともに、大人も病気で争うことをいずれやらなくてはいけない。時間はかかっても、提訴する未来図を頭に入れて動きたい」と提起され賛同された。(Y)

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