2025年01月31日 1856号

【議会を変える/東京都足立区議/土屋のりこ/タコさんは下品なの?】

 足立区では、「自分が大好きな足立の風景」を次世代にも残し伝えていこうと「街の風景資産」を選んでいる。この12月にも最終確定する景観審議会が開催され、今月にも選定結果を発表する予定だったがもう少し延期となった。理由は最終の景観審議会で選定対象について揉めたからだ。

 質問したのは私だが「区民投票で人気の高い『タコさんすべり台』がなぜ選定から外されたのか」。審議会には専門家の学者らも参加しており、学者の意見として「困った景観」「直喩のような直接的な引用はクオリティが低い」「趣味が悪い」ため選定から外したのだとのことだった。

 確かに、写真家入江泰吉氏が写すような奈良大和路風景≠ノいきなり「タコ」が現れると違和感しかないだろうが、タコが立地するのは足立区だ。1965年に全国第1号と区が誇る「タコさんすべり台」が多摩美術大学名誉教授で彫刻家の工藤健氏により生み出され、以降多くの子どもたちに親しまれてきた。タコすべり台に魅了された子どもが大人になり「きれいな街をつくり公園を増やしたい」と区職員になってタコ遊具の増改築に携わった歴史もある。

 今回の専門家の意見を紹介したところ区民の方から「子どもの頃タコ公園が一番好きだった。足立区はあるがままでいい。それこそが足立区の魅力」とタコすべり台が街の文化になじんでいることが語られた。区としてもタコすべり台のある12か所の公園を紹介しアピールしている。このような区民・区の思いと外部の専門家の意見が真っ向対立し、区民の思いが反映されないまま風景資産が決定してしまうのはやはりおかしい。

 審議会後も文書質問を出し、区の重要施策に区民の思いが反映されないあり方は改善が必要ではないかと問うたところ、「区民の思いを反映する部分が足りていなかったことを反省している」「再審議」「区民の思いを充分反映できるよう改善してまいる」と。

 再審議する専門部会と審議会は今後の開催となるが、区民のタコさんすべり台への思いが汲まれた結果となるよう、審議会委員として私も力を発揮していきたい。

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