2025年02月07日 1857号
【ALPS処理汚染水差止訴訟第4回口頭弁論 被害者は漁民だけではない】
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ALPS(アルプス)処理汚染水差止訴訟第4回口頭弁論が1月21日、福島地裁で行われた。
この日は、茨城県石岡市で有機農業を営む原告の魚住道郎(みちお)さんが意見陳述した。
水俣病などの公害が続出した1970年代に20代だった魚住さんは「汚染物質を拡散させ、希釈させればよいとの戦後の近代化思想が公害の原因だと考え、農薬や化学肥料を使わない有機農業の実践を開始した」と思いを述べる。福島原発事故後、石岡市にも放射性物質は拡散。「森里川海(もりさとかわうみ)が汚染された。汚染水海洋放出が続けば、トリチウムが蒸発し、雲となり、雨となって降り注ぐ」。海の汚染だけの問題ではなく、農業者を含むすべての人に原告適格があるとの主張だ。
弁護団は、南太平洋・テニアン島の元議員・ワニータ・マスガ・メンディオラ氏の日本政府批判を紹介。政府が1985年に放射性廃棄物の海洋投棄計画を無期限停止する方針を決定していたことを明らかにした。
ロンドン条約1996年追加議定書は「人工海洋構築物」から海洋への放射性廃棄物投棄を禁じる。弁護団は、汚染水海洋放出のため建設された「パイプライン」が、実際にはシールド工法で掘られたトンネルで紛れもない人工海洋構築物だ、として国と東京電力の条約違反を主張した。
次回口頭弁論は6月20日。
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