2025年02月14日 1858号
【1858号主張/石破施政方針と25年度予算案/戦争・軍事か 命とくらしか】
|
民意と無縁「楽しい日本」
1月24日、石破茂首相が初の施政方針演説を行い、31日から2025年度政府予算案審議が始まった。石破は何を強調しているのか。
施政方針演説の冒頭では、「我が国の直面する現実を直視しなければなりません」として、人口減少や、GDPの世界の18%(1994年)から4%(2023年)への低下を挙げた。しかし、その30年、自公政権の下で賃金は上がらず生活苦・貧困が深刻化してきた。こうした現実に全く言及せず「今日より明日は良くなると実感できる『楽しい日本』」を目指すと言う。
看板の「令和の日本列島改造」も、要は「150兆円超のGX投資を呼び込む」「AI・半導体分野に50兆円投資を引き出す」というグローバル資本のための政策の焼き直しに過ぎない。
「国民の納得と共感」など得られるわけがない。
加速する戦争準備
その一方で、戦争準備体制強化には前のめりの姿勢をあらわにした。石破は「我が国自身の能力を高める、日米同盟を更なる高みに引き上げる、同志国との連携を更に拡大・深化する」と述べ、「日米同盟は我が国の外交・安全保障政策の基軸」として「合衆国の地域へのコミットメントを引き続き確保せねばなりません」とぶち上げた。軍事優先は2025年度予算案で明白だ。軍事費は11年連続で過去最大を更新し、8・7兆円にも達した。敵基地攻撃のための長射程ミサイル「スタンド・オフ防衛能力」に総額9390億円をつぎ込み、全国13か所に自衛隊の弾薬庫を新設する。
沖縄・辺野古では「大浦湾側の地盤改良工事に着手することで、普天間飛行場全面返還の実現に向け大きく前進した」と自賛。1月29日、砂ぐいの打ち込みを強行した。米兵の女性暴行事件も後を絶たない。どこが「基地負担の軽減」か。
さらに2月7日の日米首脳会談で、一層の日米軍事一体化、戦争路線強化を打ち出そうとしている。
声を広げ政治変革へ
石破は、与党過半数割れの契機となった自民党の裏金問題に一切触れない。人ごとのように「少数与党となりましたが、比較第1党として責任与党でなければなりません」と開き直った。
自民党東京都連ではその後も裏金が横行し、予算委員会でも自民党は会計責任者の参考人招致に最後まで抵抗した。腐敗政権をこれ以上延命させてはならない。
過去、自民の拒否でつぶされてきた参考人招致が野党の賛成多数で可決された。世論と運動を大きく広げれば、野党を突き動かし民意の支持なき少数与党政権を追い詰めることは可能だ。
軍事費を削り生活に回せの声を強め、東京都議選、参院選、また解散総選挙から、命とくらしを優先する政治への変革を実現しなければならない。
(2月3日) |
|