2025年02月14日 1858号
【未来への責任(413)/ノーハプサ最高裁判決の場で】
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1月17日、ノーハプサ(合祀〈ごうし〉)の最高裁判決があるので東京へ行った。奇しくも1・17は阪神大震災から30年の日。神戸在住在勤の私は、どちらに参加するのか迷った末での決断だった。裁判には韓国から第1次訴訟原告の李熙子(イヒジャ)さんが来られる。ヒジャさんとは、映画『あんにょん・サヨナラ』の出演を通して運命的な出会いとなったが、それからちょうど30年でもあった。
「判決を言い渡します。主文…上告を棄却する」。いつもなら20秒ほどで裁判官はそそくさと退席するが、この日は違った。岡村和美裁判長は「事案の重要性に鑑みて」として、判決要旨を朗読した。そして「補足意見と反対意見が付されている」と続けた。GUNGUN裁判提訴から四半世紀。裁判官から反対意見を聞くことなど、これまで一度もなかっただけに、何か大きなことが起こっていると直感した。
のちに判決文の写しをもらったが、そこには今までの「やってもやっても敗訴」を打ち砕く、「御用裁判」を一刀両断する三浦守判事の反対意見が書かれてあった。「上告人らが本件各被合祀者を敬愛追慕する上で平穏な精神生活を維持する人格的利益は、現在も、本件情報提供行為と不可分一体の行為により侵害が継続し損害が生じてぃるとみる余地がある。(略)このような場合に法益の侵害と損害の発生を待たずに 除斥期間の進行を認めることは、被害者にとって著しく酷であり、不合理である」。ようやく私たちの主張が認められた、そう感じた。
裁判後、孫世代の朴善Y(パクソニョプ)さん、浅野史生弁護士たちと一緒に靖國神社へ行った。遊就館を見学したのち社務所へ。警備員は「神社側は会わないと言っている」と終始した。遺族を前に失礼な話である。朴さんは「祖父は『中原憲泰』ではない、朴憲泰(パクホンテ)だ」と創氏名で合祀を続ける國神社に強く抗議した。
報告集会でヒジャさんは「除斥などとんでもない。反対意見を聞きながら、あきらめずに闘い続けてきた意味を感じていた。感動した。私は、子どもとしての道理を尽くすために闘ってきた。生存者が決してあきらめるなと応援してくれ、大きな力になった。訴訟を通じて記録を残すことが勝つことだと思っている。このタオルはそういう意味を込めて皆さんに贈りたい」と参加者にタオルをプレゼントしてくれた。
今後、被害者の「孫世代」が新たな「靖国合祀絶止訴訟」を日本で継続し、さらに韓国内で軍人軍属裁判の要求内容で新たな提訴を行う予定と聞く。過去の冤罪事件や優生保護法での誤った政策による人権侵害が最近断罪されているが、この靖国合祀でもいつの日か断罪される日が来る。そう希望を持った一日だった。
(在韓軍人軍属裁判の要求実現を支援する会 古川雅基)
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