2025年02月14日 1858号

【訪問介護報酬引き下げ撤回 尊厳ある生活へ集い いま国会へ現場から声を】

 2月2日、2回目となる「訪問介護報酬引き下げを撤回させ、尊厳ある生活を保障させる集い」が大阪市内で開催された。

 2024年の介護事業者の休廃業・解散は612件に達し過去最高。新規参入は都市部での開業が多く、過疎地での介護が崩壊しつつある実態がある。厚生労働省は、倒産が増えている原因を介護報酬改定や低賃金と認めず、訪問介護の人材不足は1人で訪問する不安感などだと主張している。

 この上、利用料2割負担者の拡大や要介護1・2の利用者を介護事業から地域支援事業に移行する方針など、政府はさらなる改悪を準備している。ロボットなど高コストの新技術導入や大規模化への支援が優先的に行われ、経営がぎりぎりの小規模事業所は切り捨てられようとしている。

 大阪・箕面(みのお)市の介護施設で不当に雇い止めされ闘争中の渋谷国彦さんは、毎朝施設前でスタンディング中だ。直近の介護状況で「オムツ交換自体を減らすことを効率化≠セと。それで確実に褥瘡(じょくそう)は増えているし、尿路感染が増えている疑いもある」と現場での経費削減の弊害を告発。別の参加者からは「高齢者は合理化する対象なのか、モノ扱いなのか」と怒りの声が。

 西宮市でデイサービスセンターの代表を務める畑京子さんは、1月30日に開いた介護従事者交流会を報告。立憲民主の市会・県会議員、国会議員秘書、自民・共産の市会議員も参加した。市内事業所への独自アンケートによる介護現場の実態を議員たちとも共有することができた。同様の独自アンケートは枚方市でも進んでおり、回答数はまだ少ないが7割から収入減の訴えがあった。

 大阪市内の事業所の介護従事者は「デイサービスと訪問介護を柔軟に使い分けて、その日ごとの利用者さんの状況に対応している」と、地域密着型の小規模事業所の利点も伝えた。

 主催した「尊厳ある暮らしを連絡会」の手塚たかひろさんは「国会でも野党が介護従事者の処遇改善法案を提出した。与党が弱い今、通る可能性は高い。現場レベルからもさらに声を強めていこう」と訴えた。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS