2025年02月21日 1859号
【子ども脱被ばく裁判 総括集会で新たな出発/井戸川裁判 結審し7・30判決】
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福島原発事故で子どもたちに無用な被ばくを強いたとして東京電力と国を訴えた「子ども脱被ばく裁判」は昨年11月末、最高裁に棄却され敗訴が確定したが、同裁判の会は「裁判で終わりではない」と2月4日、参院議員会館で抗議・総括集会を開いた。会場には弁護団、各地の裁判の会をはじめ、損害賠償訴訟や再稼働反対、住宅追い出し反対などを闘う全国の団体から約160人が結集した。
子どもの放射能健康被害を切り捨てた行政と司法への怒りが相次ぎ、“あきれ果てても諦めない“が参加者の合言葉となり、「新たな運動の出発点となる決起集会になった」(片岡輝美・裁判の会共同代表)。
水戸喜世子裁判の会共同代表は「子どもたちには申し訳ない気持ちでいっぱい。裁判闘争を通して脱被ばくの世界に向け、市民が学ぶことができたのが成果」とあいさつ。2014年8月福島地裁提訴以来10年間の法廷闘争を支えた弁護団から7人が紹介された。井戸謙一弁護団長は「被ばくしたこと自体を問題にした裁判。山下俊一証人を尋問し、100_シーベルト被ばくは年間ではなく生涯累積値と認めさせたのは成果だった。少数の考え方であっても変わる時は一気に変わる。これからも火を灯し続けたい」と報告した。立憲民主党、れいわ新選組、社民党の国会議員らもかけつけた。
連帯のあいさつは、岐阜・愛知訴訟、京都訴訟など損害賠償訴訟団、311子ども甲状腺がん裁判支援者、ノーモア原発公害市民連絡会、生業訴訟原告団、ひだんれんほか。23団体で構成される617最高裁共同行動2025実行委員会からは、6月最高裁包囲行動の結集が呼びかけられた。
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翌5日、元福島県双葉町長・井戸川克隆さんが国と東電のウソと偽りで住民を被ばくさせた罪を問う「福島被ばく訴訟」が東京地裁で結審。2015年5月の提訴以来、31回の弁論を重ね膨大なデータを蓄積した。
法廷の傍聴席98すべてを埋めた支援者らを前に、井戸川さんは1時間にわたって最後の陳述を行った。
井戸川さんは「被告東電と国は『止める』『冷やす』『閉じ込める』という約束を守らずに大事故を起こした。原発稼働には極めて高度の注意義務があり、規制権限の行使は絶対条件。事故前の再三の要請に対し『放射能は出しません。心配しないでください』と笑いながら答えていたあの笑いは一体何だったんだ」と怒りをぶつけた。「事故後は、事前に確認されていた事故時の体制が破られ、立地首長は原子力災害現地対策本部から外され、全く蚊帳の外。SPEEDI(スピーディ)(放射能影響予測システム)の存在すら知らされなかった。町民に責任を持つ私としては耐え難く、みなさんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と、犠牲になった町民の避難の記録を紹介し悔しさを滲ませた。
判決は7月30日。

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