2025年02月21日 1859号
【未来への責任(414)/長生炭鉱犠牲者への行動的慰霊】
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長生炭鉱犠牲者83周年追悼集会が2月1日、山口県宇部市の現地で行われた。降りしきる雨の中、例年の2倍以上の450人の参加で追悼ひろばは埋め尽くされ会場外にも人があふれた。
社民党福島みずほ議員の提案で追悼会の開始前の10時から40分、国会議員と遺族の懇談会が開催された。遺族は「(潜水に入る)伊左治佳孝さんの安全を確保してほしい」と話す。福島議員は「坑口がつぶれないように政府に働きかけたい」と答える。日本の警察・科捜研がDNA鑑定をすることに対し、韓国遺族は「韓国政府から遺骨を返してほしい」と訴え、共産党小池晃議員は「徴用工の遺骨返還は日本政府と韓国政府が約束したこと。当然です」と答えた。
追悼集会には5人の国会議員が参加。立憲民主党有田芳生議員は「厚労省が毎年1千万〜1400万円以上の予算があるのに1万数千円しか執行していない。これを長生炭鉱に使うべきだ」。共産党仁比聡平議員は「私のおじいさんも炭鉱で働いていた。強制連行で多くの朝鮮の方が苦しんでいるのに遺骨を返さないのはおかしい」と涙ぐみながら発言された。
韓国からは行政安全部も参加した。韓国国会で「長生炭鉱の解決へむけ日本政府と一緒に事業を進めるべく韓国政府に求める」との国会決議案を提出したキム・ジュンヒョク議員も発言。韓国からはご遺族と別に、100人の追悼団も参加した。
前日の潜水調査の初日には、社民党大椿ゆうこ議員が調査に立ち会った。伊左治さんが潜水調査に入っているその時間に、衆議院予算委員会で立憲の源馬謙太郎議員が石破首相に長生炭鉱の遺骨収容を日韓共同事業とし取り組む考えはどうかと質疑した。首相は逃げて答えなかった。厚生労働大臣は「状況を引き続き把握していく」と答えざるを得なかった。潜水調査を見守りながら国会質疑の様子をユーチューブを通してみんなで聞く。緊迫した現場と政治が繋がる―こんな緊張感は味わったことがなかった。
追悼式の後、450人を超える日韓の市民がずぶぬれで潜水を見守る。沖縄戦遺骨収集ボランテア・具志堅隆松さんが語った。「遺骨が見つかることだけが重要ではない。みんなが遺骨を探すためずぶぬれになりながら遺骨に近づこうとすることが慰霊になる。それが行動的慰霊だ」。現場に来た日韓市民と生配信を見た200人、合わせて650人が心を一つにした行動的慰霊だった。
3日間で私たちはご遺骨に65bのところまで近づいた。植民地支配の犠牲者の救済と、日韓の友好を目指す私たちの取り組みは終わらない。次は4月1〜2日、韓国からダイバーを招請し日韓共同潜水調査を実施する。
3日間の潜水中に坑口前でずっとお経をあげていただいた国平寺の住職さん。「伊左治さんの安全のために祈ったが、坑内から声が聞こえてきた。みんな喜んでいる声だった」と話した。
(長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 上田慶司) |
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