2025年03月14日 1862号
【読書室/沖縄・否戦の戦い 有銘政夫を語る/NPO法人沖縄恨之碑の会編 インパクト出版会 2000円(税込2200円)/戦争を否定する思想と実践】
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本書は2021年、90歳で亡くなった有銘(ありめ)政夫さんの生涯の軌跡、生き方を「記録」したものである。
有銘政夫さんはサイパン島の地上戦を体験し、沖縄に戻ってからは、米軍の圧制と闘う住民闘争の中心として活動した。昼は教員、夜は青年団員のリーダーとして活動し、軍用地強制接収反対闘争、沖縄の米軍統治を正当化するプライス勧告に反対する島ぐるみ闘争、復帰闘争の最前線にたった。
米軍基地内の私有地の賃貸契約を拒否する反戦地主会結成に参加。復帰後は沖縄への自衛隊配備に抵抗する反自衛隊闘争をリードし、教科書から「住民虐殺」を削除する教科書攻撃に抗議し、沖縄戦を伝える平和教育の自主教材編纂など民主教育運動を担った。沖教組中頭支部の委員長、中部地区労議長を退任した後、沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議議長に就任した。
1995年「少女暴行事件」に端を発する基地撤去を求める島ぐるみ闘争では、反戦地主として各地を飛び回り、沖縄と全国の闘いを結ぶ役割を担った。このころZENKO(当時は「働く青年の全国交歓会」=全交)の沖縄連帯行動に度々参加。98年には沖縄全交の現地実行委員を務めた。
「国を相手にした権利闘争は、負けることを気にしていてならない」「負けを認めないから新たな闘いが始まる。その連続によって歴史が変えられていく」と語る有銘さん。個々の運動結果に一喜一憂することなく「戦争につながるものを一切拒否する」という「否戦」の態度を貫き「生活の延長で闘う」と文化運動にもとりくんだ。その生き様を私たちは今一度学び、闘いを引き継いでいかなければならないと思う。(N) |
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