2025年03月21日 1863号

【トランプとマスクの大規模解雇攻撃/連邦政府労働者らが億万長者の権力掌握に反対し団結】

 2025年2月14日、連邦政府職員と市民が、トランプ大統領と、「政府効率化省(DOGE)」トップ、数十兆円の資産を持つイーロン・マスクの政策に対抗して集結した。参加者は「億万長者の乗っ取りを止めろ」「労働者のデータに手を出すな」のプラカードを掲げ声を上げた。

 トランプ政権は連邦政府の労働者をターゲットにし、マスク率いるDOGEがその先頭に立つ。採用凍結や出勤停止命令、リモートワーカーへのオフィス復帰命令などを発して生活に深刻な影響を与え、連邦政府職員の怒りが噴出している。

 トランプは就任初日に連邦職員を公務員規則から外す大統領令を発令し、リモートワークを攻撃し多様性尊重の政策を否定した。変更は急速に実施され、多くの職員が法的異議を唱えているが、完全に阻止することは容易ではない。労働条件が急激に悪化し、不安定になっている。

 連邦政府職員労組は訴訟を起こし、集会を開くことで抵抗を始めた。全国的な行動日が計画され、労働者たちは情報を共有し反撃を開始している。サンフランシスコの連邦組織・退役軍人局のマーク・スミスさんは「億万長者が公共サービスに決定を下すなど信用できない」と語り、連邦職員の団結を呼びかけた。

全国一斉集会で反撃

 2月20日、連邦政府職員労組のメンバーは「公式機関ではないDOGEによる違法な人員削減だ」として、これに対抗するため、全国30か所で「サービスを守ろう」集会を開催した。

 約2万人の労働者が解雇され、その多くは試用期間中で、解雇通知は「さようなら」のメール1本だった。このような無情な対応に対して、労働者たちは深い失望感と怒りを抱いている。

 ニューヨークの集会で、陸軍工兵隊従業員第98支部のクリス・ドルズさんは「最前線にいる連邦職員が広範な労働運動に呼びかけ、街頭に出て、政治危機にすることだ」と訴えた。解雇の第一候補は試用期間中の労働者で、解雇通知もなく突然解雇される事例が増えている。不安が広がる一方、連帯感が強まっている。

 トランプ政権の行動は、連邦住宅局や国立科学財団などの機関でも続き、解雇された労働者には医療機器の安全性確認や医療保険制度改革法(オバマケア)のシステム監督を行う者も含まれる。組合は、雇用凍結や出張禁止、会議のキャンセルについて交渉を進め、強い抵抗を示している。

郵政公社と労働運動

 郵政公社は米国最大の労働組合を持つ。トランプは、郵政公社を次の標的とし組合の弱体化を狙っているとの可能性が報じられ、郵便労働組合はワシントンDCで集会を開いた。トランプは郵政公社の民営化を進める意向を示しており、労働組合はこれに対抗するための行動を強化している。

 組合員たちは、労働条件の悪化や民営化の危険性について警鐘を鳴らし、組合の活動を強化する必要性を訴えている。労働者たちは「地獄のように戦え」というスローガンのもと、団結して闘う姿勢を見せている。郵政公社の労働者は、公共サービスを維持するために重要な役割を果たしており、その権利を守るための闘いが続いている。

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 連邦政府職員と郵政公社の労働者は、トランプ政権とマスクによるいわばクーデター≠ニもいえる大規模解雇攻撃に対抗し、団結して闘う姿勢を強めている。彼らは公共サービスを守るために闘い続けている。

 労働者の権利を守る闘いにとって、広範な労働運動と連携した団結が困難な時期を乗り越えるための鍵となるだろう。全米、世界からの連帯が必要だ。





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