2025年03月21日 1863号

【アジアはともだち!子どもコンサート/過去に学び、未来に向けともに歌う】

 2月23日、大阪市内で「アジアはともだち!子どもコンサート」(主催―同実行委員会)が開かれた。

 今回も、子ども全国交歓会が交流を続ける沖縄県読谷村(よみたんそん)の3団体(獅子舞、棒術、琉球舞踊)、大阪朝鮮初級学校が出演し、韓国からも小学生2人がダンスを含む民話劇を披露。地元の子どもたちは和太鼓、獅子舞、エイサー、フラダンスを演じ、関東子ども全交、フィリピンの就学前施設アバカダからもビデオが寄せられ、来場者250人が一つとなるコンサートだった。

 コンサートは、オープニングの和太鼓のあと子ども代表の「昨年末に沖縄を訪問し、チビチリガマで『軍官民共生共死』を恐ろしく感じ、『違い』を認め合うことでこそ平和は実現すると思った」というメッセージから始まった。

 コロナ禍が沈静化したこともあってか、各演技でのかつてない表現の豊かさは言うに及ばず、子どもたち同士の触れ合い、生身の交流が盛んだった。出演者全員による『平和な世界』の合唱やエンディングでの『沖縄ラティーナ』の踊りのノリもよく、舞台裏や終演後の交流会、久しぶりのホームステイ先では互いに写真を撮ったりふざけあう姿が多くみられた。

 韓国からの13年ぶりの参加は、地域での国境を超えた交流の蓄積によるものでもあった。宝塚市玉瀬で、1910年代からの難工事だった神戸上水道工事で命を落とした3人と1930年代の福知山線(現宝塚線)トンネル工事でのダイナマイト爆発事故で亡くなった2人の朝鮮人労働者を100年以上も地元の住民が慰霊し続けてきた。この事実を、在日朝鮮人歴史研究者と日本人市民が1990年代から共同で「発掘」し、その後、犠牲者の故郷と遺族探しの過程で日韓市民の交流がはじまる。

 そして日本の市民と共に、韓国内でも朝鮮学校はじめ在日コリアンの子どもたちへの支援の輪が広がって舞踊シューズをプレゼントするなどの取り組みが進められている。その日韓市民グループが本コンサートの趣旨に共鳴し、積極的に協力して参加が実現したのだ。

 コンサート翌日、韓国参加団と在日・日本の市民あわせて14人が玉瀬の追悼碑などを訪問し、出演した子ども2人が元気に『平和な世界』(ハングル歌詞)を歌って犠牲者の霊を慰めた。

 過去に学び、未来に向けて共に歌うアジアの子どもたちに、私たち大人が今こそ学ぶべきだと強く感じるコンサートだった。

(子どもコンサート実行委員会・加納健次)

仲良くなった子どもたち/「平和でみんなが笑える世界に」

▼平和の大切さを知りました。平和じゃないと、今日みたいにみんなが笑って楽しむことができないと思ったからです。アジアの人たちがみんな集まって「愛はいるが、戦争はいらない」など訴えていると感じました。今世界では戦争がたくさん起きていますが、いつかは戦争のない平和でみんなが笑って暮らせる世界になってほしいと思いました。(読谷村/琉舞・6年女)

▼子どもコンサートで、とけし(渡慶次)の人や大阪の人、かんこくの人とも仲よくなりました。また、かんこくの人の演技を見て、日本の人でも、かんこくごがわからない人でも伝わっていて、ぼくはすごいと思いました。(読谷村/座喜味棒・6年男)

▼今日のひらのキジムナーのおどりでは、みんなすごく声が出ていてよかったと思います。沖縄ラティーナはとくによかったです。笑顔でおどり、楽しかったです。韓国の人のげきや歌では大笑いでした。韓国の人に「カムサハムニダ」など何も言えなくて悲しかったです。でも、みんなが楽しんでいたと思います。(ひらのキジムナー・4年女)







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