2025年03月28日 1864号

【自民党は政権からおりろ/予算再修正 軍事費削れ】

党内から石破おろし

 自民党は末期症状だ。安倍派・西田昌司参院議員が「首相退陣」勧告を公然と口にし、石破茂首相の「10万円商品券配布」をマスコミにリークしたと証言する議員まで現れた(3/14現代ビジネス)。党内クーデターといえる。

 石破首相は2025年度予算案を2度修正した。「103万円の壁」引き上げ、高校授業料無償化の実施と高額療養費負担上限引き上げの見送り。不十分ながら市民要求を受け入れたものだ。だが、反石破勢力は「指導力がない。参院選に勝てない」と予算成立後の退陣を要求した。

 内閣支持率は先月から8ポイント低下し、36%(3/10NHK)。月末にはさらに下がるのは間違いない。それは、予算修正に応じたからではない。市民は自民党自体に嫌気がさしている。だれが総裁になろうが変わらない。石破退陣とともに、自民党は政権を明け渡すべきだ。

「現場のニーズ」なし

 親石破派からも石破批判ともとれる発言があった。中谷防衛相が石破が意欲を示す米国製輸送機C17の購入について「本気で求める認識にある人はまずいない」(3/14記者会見)と全否定した。

 石破は米大統領トランプとの首脳会談(2/7)で「米輸送機購入」を表明していた。米側の軍事費増額要求に先手を打つために準備していたという(2/26日経)。石破は「陸上自衛隊のニーズからいっても導入を検討すべきだ」(3/5参院予算委)と意気込むが、「すでに米国ではC17の製造を中止し、部品も含めてすべての調達ができない」(中谷防衛相)。防衛省内では日本の軍需産業へのメリットもなく、長い滑走路を必要とする同機の運用可能な基地や空港が限られることなどから導入に慎重な意見が強いという(3/14日経)。石破のいう「ニーズ」は現場の「ニーズ」ではなかったということだ。

 防衛相経験者である石破だ。こうした事情を分かったうえで、トランプに購入を約束してきたことになる。安倍政権のオスプレイ「爆買い」と同じではないか。事故続きのオスプレイは、来年生産終了となる。米軍以外で購入したのは陸上自衛隊17機のみ。自衛隊の現場にとって、まったく要求もしていない厄介者だった。配属先も決まらず、千葉県木更津駐屯地に長く「暫定配置」され、佐賀空港に移すための駐機場建設を強行している。

 米軍が使わない「型落ち兵器」の購入はこれだけではない。今年度配備予定のトマホーク「ブロック4」(3600億円)や22年配備の無人偵察機「RQ-4Bグローバルホーク」(629億円+年間維持費126億円以上)などもそうだ。

8割はツケで契約

 先の例は、岸田政権が定めた防衛力整備計画(5年間で43兆円)が「額ありき」であったことを示している。自衛艦隊司令官を務めた香田洋二さえ「今回の計画からは、自衛隊の現場のにおいがしない」と批判していた(22年12月)。

 ところが石破は日米共同声明で、「27年度以降も防衛力の抜本的強化に取り組む」とさらなる軍拡を表明。この時、米側から「GDP3%への引き上げ」要求があったことを隠していた。

 石破は「日本の防衛費は日本が決める」とし、「額ありきではない。必要な積み上げで決まる」と建前を繰り返しているが、実態は、先にみたとおりだ。

 しかも実際の軍事費は既に大きく膨らんでいる。

 25年度当初予算案8兆4748億円(SACO関係経費など除く)の約50%はローン支払額4兆119億円だ。今年度の新規契約は8兆4332億円。このうち今年度支払うのは1兆8121億円。2割程度に過ぎない。6兆6211億円が先送りされる。この額は今年度の軍事費には含まれない。これまでのローンも合わせれば、次年度以降15兆円の支払いが残っている。

 5年間43兆円にも、別の数字がある。「契約ベース」43・5兆円。現整備計画を終える27年度にどれだけのローンが残るのか分からないが、少なく見ても17兆円。5年間で60兆円の軍事費になる。27年度の軍事費はGDP3%に限りなく近い。



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 自民党内のクーデターがどうなろうと、市民が自民党に何かを期待することはない。野党は結束して、内閣不信任、政権交代を迫るべきだ。25予算はまだ修正はできる。軍事費の大幅削減、市民生活最優先の予算を掲げ、政権交代を迫ろう。

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