2025年03月28日 1864号

【みるよむ(726)2025年3月8日配信:キオスク、露天商の強制撤去を止めよう】

 イラクの各都市では、都市の整備や美観を名目にして路上のキオスクや露天商に対する強制撤去が広がっている。零細な小売業者たちは仕事を奪われ生活ができない。2025年1月、サナテレビが報道した。

 路上のキオスクなど屋台で小売商が商売を営む光景は、世界中で見られる。キオスクでは「野菜、果物、タバコ、日用品、子どものおもちゃ、新聞」といった市民の生活で必要とされるものが手軽に買える。

 ところが、バグダッドの行政当局は、「街路の整備」「町の全体的な外観の改善」との名目で、キオスクの撤去を進めている。ブルドーザーまで動員して問答無用で小さな商店を破壊している。当局は「首都の景観を損なう」「ゴミの容量を増やす」「歩道を占拠している」という理由を並べ立て強硬な姿勢だ。

 キオスクのオーナーたちはこうした撤去、追い出し政策をどう思っているのだろうか。彼らは「自分たちには歩道と道路しかない」と訴える。イラクは「深刻な失業と貧困状態」にある。日々の生活の糧を得るために働くこの人たちを切り捨てる攻撃なのだ。

公的な支援策が必要

 サナテレビは、キオスクのオーナーが「もし指定された場所があれば、路上で仕事をすることはなかっただろう」と主張していることを伝える。さらに、追い出し攻撃にあっているこの人たちに対して「手ごろな価格で組織化された大衆市場の設立」や「新しい場所への移動、ほかのプロジェクトの開始のための低金利での融資などの財政支援」を提案している。

 サナテレビは、キオスクや露天商への一方的な強制撤去に対して、零細業者とその家族の生計を支えるために、行政を動かして公設市場開設など公的な支援策を進め、当事者、住民が協力することで社会的に解決しようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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