2025年03月28日 1864号
【空襲の指揮官を叙勲した日本政府/具志堅隆松さんらが取り消し要請】
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東京大空襲から80年の3月10日国会内で、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんらが、この空襲など日本本土への無差別爆撃を指揮したカーチス・ルメイ米軍少将に対する勲一等旭日大綬章叙勲の取り消しを内閣府賞勲局に求めた。
大空襲犠牲者への慰霊の祈りに続き、具志堅さんが要請書を読み上げる。「東京大空襲で一晩に10万人以上の一般市民が焼き殺された事実にルメイ氏は悔恨の念など起こすことなく、次々と全国の都市の市民を殺戮する無差別爆撃を進めていった。そのルメイ氏に勲章を与えるのは国民感情として絶対容認できない。叙勲は日本人の大量殺戮を日本政府が看過し、ルメイ氏を評価したということだ」
要請書を受け取った賞勲局職員は「外務省から推薦があり、航空自衛隊の発展に貢献があったと確認できたので、閣議で叙勲を決定した。その功績を覆す事実が出てこない限り、取り消しは検討しない」と拒否。「東京大空襲について国際法上いろいろ議論があることは承知しているが、その判断は私の仕事ではない。国民感情は判断の対象ではない」と開き直った。
具志堅さんは「あなたたちがやっているのは反国民的行為。犠牲者に寄り添うのではなく、大量虐殺した加害者に寄り添うどころか褒(ほ)め讃(たた)えている。恥を知りなさい」と怒気鋭く迫る。
千葉県佐倉市で平和博物館を開く上田美毎(よしかつ)さんは、展示している天皇裕仁からルメイに宛てた「大日本国璽」入り贈与状の写真を示し、「妻が祖父母を東京大空襲で失った。叙勲が取り消されないと、死んだ者が浮かばれない」と訴えた。
具志堅さんが「叙勲が取り消されるまで私たちは抗(あらが)い、声を上げ続ける」と告げ、要請を終えた。
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