2025年04月11日 1866号

【爆発・汚染…命脅かす夢洲万博/子ども動員などとんでもない/今からでも中止だ】

廃棄物処分地が会場

 開会間近の大阪・関西万博。数々の問題が指摘されている。とりわけ、会場が産業廃棄物などの処分地・夢洲(ゆめしま)であることによる危険性は、他に例がないものだ。

 「夢洲危ない!」は大阪・関西万博反対の共通スローガン。「夢洲カジノを止める大阪府民の会」は、土壌汚染や発生するガス対策について、2月21日に万博協会、3月7日には大阪市長に質問書を提出したが、今も回答はない。

 府民の会は、「万博協会と締結した万博会場(夢洲1区)の『土地使用貸借契約』の解除を求める請願書」を大阪市長に提出する。この危険な状況を知りながら貸し続ければ、事故が起きる可能性が高い、責任を問う、と迫るものだ。

 会場の西ゲート、イベント広場や団体休憩所のあるGWエリアや駐車場(夢洲1区)の行政当局の位置づけは「北港処分地」。廃棄物(産業廃棄物・一般廃棄物や焼却残滓、上下水汚泥等)の大阪市独自の(2015年から管理は大阪広域環境施設組合)管理型最終処分場で「立ち入り禁止区域」に指定されている。

 PCB・ダイオキシンなどの毒物が埋められ、メタンをはじめ一酸化炭素、硫化水素、アンモニアなどの有毒ガスが発生し続けている。メタンガスの発生量は1日あたり2d(通常の気圧なら25bプール9つ分)に上ると言われている。

 大阪市と万博協会の契約書では「盛り土をした上で、工作物等を整備する」とし、「その盛り土は夢洲内で発生する汚染土壌を使用する」とある。来場者が歩く足元の土は夢洲1区を掘り返した汚染土壌の盛り土なのだ。だが、どんな有毒物質が含まれているのか、万博協会、大阪市は答えない。

いつ爆発するかも

 昨年3月のメタンガス爆発は、イベント広場横の東トイレで、工事の火花が地下ピットに充満したメタンガスに引火して起きた。万博協会は、問題はGWエリアの東トイレと西トイレだけとし、ここに対しては強制換気等の対策をとり、状況は改善されたと言う。

 しかし、会場内に数十本ある高さ2bほどのガス抜き管部分では、メタン濃度は爆発基準を超える。12月、共産党たつみ衆院議員が国会で指摘したように誰かが火のついたマッチを放り込めば爆発が起きる状況≠セ。一酸化炭素や硫化水素については、数時間で死に至るような濃度が2月段階でも連日測定されている。

 こんな有毒ガスが毎日出続けているのだ。管理している施設組合によると、ガス抜き管の設置目的は、地中のガスの空中拡散ではなく地中のガスの種類や濃度の計測のためという。ガス抜き管だけからガスが出ているわけではない。夢洲1区ではいたる所からガスは出ており、どの場所でも滞留する危険はある。「ガス濃度を毎日公表」との方針も、どの場所で測定したどの種類のガス濃度をどう公表するのか、基準を超えた時どうするのか、対策は一切公表されていない。

 夢洲1区はこれほど危険な区域であるため、万博協会は「フューチャーライフゾーン、西ゲートゾーン(夢洲1区)では裸火(炎、火花などが外部露出するもの)は使用できない」の条件で営業参加者を募集した。にもかわらず、いつのまにかプロパンガス使用を認めると方針変更している。

すべてはカジノのため

 危険な夢洲を承知の上で維新府市政は強引に万博会場に決めた。それがカジノのインフラ整備を狙うものであることはもはや周知だ。政治的野望のために開催を既成事実化させ、子どもたちを動員して危険にさらすわけにはいかない。

 保護者や市民の批判を受け、すでに吹田市、島本町、交野(かたの)市、熊取町などはすべての学校が万博校外学習(遠足)を実施せず、茨木市、枚方市でも学校ごとに決めるが実施しない方が多い。万博遠足を実施しない学校は増えている。

 安全性が保障できない以上万博遠足は実施すべきでない、の声をさらに広げよう。命脅かすカジノのための万博は今からでも中止だ。

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