2025年04月11日 1866号

【年金を虐殺・民族浄化に投資するな/パレスチナ人被保険者「同胞の虐殺を手助けさせるのか」/厚労省、投資リスク#Fめる】

 「イスラエルからの投資撤退を求める市民の会」は3月24日参院議員会館で、年金積立金によるパレスチナ人虐殺・民族浄化への投資をやめるよう求める署名2万3167筆を厚生労働省年金局資金運用課に手渡し、質疑応答を行った。

 厚労省が所管するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は昨年3月末時点で、イスラエル国債約2270億円、イスラエルに兵器を供給し入植活動に加担していると国連が認定した企業27社の株式約8789億円を保有する。

 市民の会から「年金は私たちが健康で文化的な最低限度の生活を営むために払っている。誰かの住む場所や、まして命を奪うために使われることがあっていいのか」と問いかける。

 厚労省は「被保険者の経済的利益という目的を離れて外交や安全保障等の理由で特定の国や企業を投資対象から除外することは認められない」「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の第一義的目的は経済的利益の追求」などと回答。

 「環境を壊しまくり、人を殺しまくり、国連決議・国際人道法に違反する国や企業がどうしてESG基準に合致していると言えるのか」との追及には、「現時点で基準に反しているとは考えない」。積立金運用の受託機関とGPIFは「適宜対話を行っている」と言うが、対話の議事録を厚労省は把握していない。この日欠席したGPIFに直接聞きたいと求めても、「受託機関とGPIFとの対話内容は機密。個別の投資行動に関わる情報は開示しない」として応じなかった。

 ただ、ロシアのウクライナ侵攻に伴いGPIFがロシア関連株式・債権をゼロ評価としたことに関連してただすと、「イスラエルのパレスチナ侵攻はESGの文脈からも適切ではない。イスラエル国債の格下げが相次ぐなど、経済的なリターンに悪影響があり得る。GPIFとしてこうしたリスクについて管理するよう求めていく」と述べた。

 院内集会には、日本で弁護士として働くファディ・キブラウィさんがメッセージを寄せた。「日本に移住して以来、国民年金制度に加入し、年金を納付してきた。多くの善意の人々は声を上げず、兵器製造企業への投資を通じて、虐殺や占領・植民地化の共犯者になってしまっている」

 パレスチナ人と日本人を両親に持つダニー・ジンさんは「20歳になり、年金手帳が届いた。僕がお金を稼ぐのは自分の将来のためであり、同胞の虐殺に加担するためではない。厚労省の方が『金銭的利益だけ』と話すのを聞き、同胞を殺すのを手助けしてしまうかもしれないとびくびくするパレスチナ人の被保険者のことなどどうでもいいのだと思った」と話した。

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