2025年04月18日 1867号

【ミリタリー/空爆は戦争犯罪のテロ行為/目的は無差別大量虐殺】

 空爆は無差別大量虐殺を目的にしたテロ行為そのものである。

 最初から「軍事目標主義」(兵員や軍事施設を攻撃目標に限定する)は建前に過ぎず、国際社会の「空爆禁止宣言」(1899年ハーグでの列国平和会議)は骨抜きにされ続けてきた。

 第1次世界大戦後の1921年、イタリアの将軍は次のように語った。―これからの戦争は「もはや兵士と民間人の区別のない」総力戦であり、そこでは空爆によって民衆がパニックをおこし「自己保存の本能に突き動かされ、戦争を終わらせろと要求するようになる」―。このように、住民の戦意をくじくテロ効果を強調したことが空爆思想の原型だといわれている。以来、植民地における治安維持名目の爆撃を宗主国があちこちで行っている。

 国家間の争いに都市爆撃を手段として初めて用いたのは31年10月、満州事変での日本による中国東北部の錦州(チンチョウ)爆撃である。史上初の本格的な都市無差別爆撃が37年4月、スペイン内戦時の北部の都市ゲルニカに対し行われた。38年12月には、日本が中国の「抗戦首都」重慶(チョンチン)に対して初めて爆撃を加え、約3年にわたって大規模爆撃を繰り返し行った。

 米軍は、第2次世界大戦中、45年3月からの東京、大阪など全国各都市への大空襲、4月からの沖縄戦、究極的な無差別空爆としての8月広島、長崎―と大規模爆撃を連続展開させた。第2次大戦後も朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン、イラクへの大規模空爆を繰り返し行ってきた。

 今日、この空爆思想を体現する最たるものが、イスラエルによるガザ無差別攻撃である。ロケット、ミサイル、ドローンが主力兵器となった空爆は、かつてないほど多くの子ども、女性、老人を殺している。植民地主義による空爆という戦争犯罪の本質は何一つ変わっていない。

 この残虐な空爆思想は、「敵」国や植民地民衆だけでなく、作戦に不要なもの、障害になるものは、自国民であっても平気で除去する=殺すことを厭わない。ガザでは、少なくないイスラエル人捕虜(人質)が空爆や攻撃によって殺されている。かつて、米軍も、日本各地の空襲や原爆で、連合国捕虜として収容中の米軍人を犠牲にした(殺した)ことが明らかになっている。空爆とは、人間性の欠片(かけら)もない軍事最優先のテロ作戦に他ならない。

 今、米トランプ政権の後押しで、イスラエルが停戦合意破壊、大規模空爆再開の暴挙を行っている。この空爆という最悪の大規模テロは明確な戦争犯罪だ。諦めることなく、声を上げ続け、行動を強める時である。

 豆多 敏紀
 平和と生活をむすぶ会

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