2025年04月25日 1868号
【1868号主張/資本のためのトランプ関税/労働者・市民への犠牲転嫁許すな】
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トランプ米大統領の相互関税発表以来、世界の株式時価総額は1割に当たる12兆ドル減少した(4/10日経)。米国巨大ハイテク7社で時価総額1・8兆ドルを減らし、株価だけでなく米国国債も下落。これをみてトランプは4月9日、相互関税適用を90日間延期した。90日間延期といっても10%課税、および自動車への25%課税などは継続する。
トランプは関税引き上げで何を狙ったのか。米国内産業保護、関税収入確保、各国との取引材料にすることである。トランプはEUや日本に対して全く「配慮」することもなく関税を強化した。トランプは、一切をかなぐり捨て、すべてを米国のグローバル資本の利益のためにと行動している。
このトランプ関税政策が日本にもたらすものは明確である。2024年の対米輸出額は日本の輸出総額の19・9%、21・3兆円。うち自動車は6兆円であった。関税により自動車大手6社の営業利益1・6兆円が吹き飛ぶ(4/4読売)。
"国難"とし犠牲転嫁狙う
これに対し日本資本は、米国での製品価格上昇を抑えるためにコスト削減を目指す。労働者に対し、解雇、雇い止め、賃金抑制を行い、下請けにコスト転嫁しようとする。また米国での生産を増やし日本からの輸出を減らす。これも国内雇用削減、下請け倒産をもたらす。
日本のグローバル資本は、利益をまもるために徹底して労働者・市民、中小零細企業に犠牲を転嫁する。
政府はどう対処しようとしているのか。
石破首相は「アメリカ政府に対し措置の見直しを強く求めるなど外交面の取り組みを進める」と米国にお願いするだけでしかない(4/11NHK)。さらに「いうなれば国難。野党の皆様方も含めて、超党派で検討する必要がある」(4/5朝日)と言い、立憲民主党の野田代表も「与野党関係なく、国難を突破するため問題意識を共有」と述べた(4/15毎日)。具体的対策として自公は給付金・減税を、立憲民主以外の野党は消費税減税を求めている。
軍拡やめ平等互恵経済へ
トランプ関税への対策として、市民生活をまもるための減税、給付は必要である。しかし今、根本的に必要なことは、中国敵視をやめ、アジアにおける平和をつくりだし、平等互恵の経済関係を発展させることである。急速に進めている中国攻撃のための大軍拡をただちにやめるべきだ。
緊張を緩和する中で、米国の政策に左右されないアジア経済の発展を実現しうる。軍事費を削ることで、企業の合理化などの被害を受ける労働者・市民への負担転嫁ではない生活改善対策を行うことができる。
米国の労働者・市民も反撃を開始している。日本でも、挙国一致≠ネどでなく、軍拡をやめさせ生活改善を実現する野党共闘を進め、参院選に勝利しなければならない。
(4月15日) |
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