2025年04月25日 1868号
【DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)ニックのアメリカレポート/トランプ政権下で拡大するDSA/70人の新メンバーとともに 奮闘するスノホミッシュ郡支部】
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ドナルド・トランプの大統領当選以来、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)は会員の増加が続いている。私の所属するスノホミッシュ郡支部は11月5日以降、少なくとも70名のメンバーが加わり、会員数は30%以上増加した。
米国に約200あるDSA支部の中で「小規模」な支部とされるスノホミッシュ郡支部は、一貫したリーダーシップの維持と組織体制の確立に苦慮していた。新会員の加入は喜ばしいことだが、私たちの優先事項は引き続き組織体制を確立することである。
組織の構築は、主にメンバー数の不足により困難を極めてきた。最も活動的なメンバーの多くは、地元のストライキ支援、ガザでのジェノサイドへの対抗運動、支部が推奨する最低賃金引き上げキャンペーンへの参加など、日々積極的に活動してきた。そのため、長期計画と組織体制の構築は、常に後回しにされてしまった。私たちの組織活動の多くは会員の自主的なものとなり、最も活動的なメンバーが必要な役割を担った。
支部大会を開催
3月、私たちの支部は年次大会を開催した。約50名のメンバーが参加した。大会では、5名からなる運営委員会と、4つの常設委員会(会員、技術&広報、政治教育、選挙活動)の共同議長を民主的に選出した。私たちは支部としての組織体制づくりと新メンバーの定期的な学習体制確立を目標としている。これにはもちろん時間がかかる。
11月の選挙以降、支部の会員委員会は、毎月DSA新会員会議を開催しており、毎回少なくとも10名が参加している。参加者のほとんどはDSAの活動をあまり知らず、インターネットでこの組織について知ったと語る。新メンバーの多くは20代から40代だが、退職した組合員などもおり、幅広い年齢層が加入している。
新メンバーの増加はもちろんうれしいことだが、DSA加盟から活動への積極的な参加へつなげていくのは容易ではない。新会員のほとんどは、せいぜい1、2回のイベントや会議にしか参加していない。11月以降に新たに加わった70名のうち、定期的に活動するメンバーになったのはわずか10名ほどである。
それでも、これはここ数年では見られなかった成長であり、10人加わっただけでも、私たちの活動を拡大することができる。
一方、支部の政治教育委員会は、資本主義と社会主義の入門講座、映画上映とディスカッション、会員による特定のテーマに関する講演など、少なくとも月に1回は教育イベントを開催している。政治教育委員会はまた、2週間ごとに定期的に読書会を開催し、パレスチナの歴史、2010年代のさまざまな大規模抗議運動の批判的検討、多国籍企業の内部事情に関する書籍を読み進めている。
地域での選挙活動へ
エバレット市の最低賃金引き上げキャンペーンの成功を受けて、支部は選挙活動委員会を設立した。設立当初は、教育に重点を置いている。2週間に一度会議を行い、シアトルDSA選挙委員会がまとめた一連の記事を読み、議論している。
この方法の背後にある考え方は、メンバー全員に社会主義実現をめざす選挙闘争の共通認識と背景を提供することだ。社会主義者として選挙に立候補するとはどういうことか? 私たちの目的と目標は何なのか? アメリカ特有の非民主的な二大政党制には、どのような法的・構造的な問題があるのか? 他の支部はどのような選挙運動を展開してきたのか? 一連の議論を終えた後、私たちはスノホミッシュ郡と、その中にある多くの自治体について調査を進める予定だ。
また、他のDSA支部が実施した選挙キャンペーンを調査し、2026年には支部主導の選挙運動を提案したいと考えている。これにより、定期的な住民投票運動や選挙でのDSAメンバー立候補を行う支部選挙プログラムの基盤を築くことが長期的な目標である。
運動と組織づくりの課題
支部の課題は多い。
第一に、新しく加入したメンバーを、いかに活動に参加してもらえるようにするかである。新会員が教育・学習プログラムや外部の選挙活動にすぐに参加できるよう、会員学習プログラムを構築する必要がある。
第二に、支部内部の組織づくりでの課題により、トランプ政権による連邦政府職員、移民その他の社会的弱者への攻撃への迅速な対応に苦労していることだ。
リベラルな組織が主導する大規模な抗議活動は、確固たる変革理論を持たないかぎり、二大資本主義政党制を乗り越える闘いを生み出すことはできない、と私たちは考えている。とはいえ、有機的に発生している多くの抗議活動に応えてただちに行動に参加することは必要であり、私たちの社会主義の大義のために必要な長期的計画や政党育成との間に、絶え間ない葛藤を感じているのだ。
さらに、委員会が増えるにつれ、統一された目標を持って活動することの難しさも見え始めた。私たちの活動が個々の委員会で行われる以上、重複した業務や互いに関連性のない業務を整理しなければならない。
DSAの成長に誇り
3月の大会で、私は運営委員会共同委員長としての1年間の任期を終えた。支部の選挙キャンペーンの勝利、地域労働組合支援の取り組み、ここ数年で最大の成長を成し遂げたことを、私は誇りに思っている。
新たな会員増加の波、そして新たなリーダー層が成長し自らを組織の長期的な中核メンバーとして認識しているのを見るのは、本当にうれしいことだ。
トランプ政権による攻撃の下で組織を運営していくさまざまな課題は否定できない。毎日恐ろしいニュースに晒(さら)される中で、希望を見出すのはたやすくはない。
しかし、社会主義組織の育成は、楽観的な見方の源泉となっている。そして、働く人びとが資本主義体制に代わるものを求めて私たちDSAのもとに集まってきていることを、私は誇りに思う。共に力を合わせれば、私たちは勝利できる。


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