2025年06月13日 1874号
【コラム 原発のない地球へ/いま時代を変える(23)/歴史をつくる6・16最高裁包囲ヒューマンチェーンへ】
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最近、運動の場面で、「解放感」とか「連帯感」とかを実感したという感想は稀だ。昨年6月17日の最高裁包囲行動はそのような感想が生まれる行動だった。集まった1000人を超える人びとから、「どこからか続々と集まってきて、久しぶりに、すごいってワクワクした」「(ヒューマンチェーンで)見知らぬ隣の参加者と手を結んで思いは一緒なんだとうれしかった」という感想が多く寄せられた。
私もその場に参加していた。反原発、反公害、環境保護、反基地など様々な団体がそれぞれの課題を掲げ、のぼり旗を立てて集う。他の集会でよく見かける「動員」といった雰囲気はない。開始前、中央マイクからは音楽隊による『民衆の歌』が流され、参加者は口ずさみながら所定の場所に向かう。「あっ、来てたのか」「お久しぶり」といったあいさつがあちこちで交わされていた。最高裁を囲むためみんなには正門前舞台は見えないが、周囲に配置された20数台のスピーカーから聞こえてくる3分間スピーチを「今度はどこの団体から?」。逃すまいと集中して聴き、コールの時は最高裁に向かって声を合わせた。
あれから1年。3年前に出された“原発事故の責任は国になし”の不当判決は、その後の地裁・高裁判決を縛り、福島原発事故は自然災害であったかのように無視され、全国での原発再稼働が進む。しかし、昨年の闘いのエネルギーは脈々と引き継がれている。
「あれだけの原発事故を起こしながら、誰も責任はとらないことになるのか」。疑問と怒りは増す一方。「時の政権に都合の良い忖度(そんたく)判決ばかり。司法の独立はどこに行った」。司法の劣化に危機感は募り、三権分立を取り戻そうとする要求はあらゆる分野に広がった。「一つ一つの団体の闘い、法廷内の運動だけでは限界だ」。多くの運動団体が小異を保留し大きな道を優先する共同行動を求めている。
それに応えるのが、間もなく迎える6月16日(月)の今年の最高裁包囲行動だ。昨年の最高裁包囲行動を引き継いで、22団体が民主的な議論を重ね企画してきた。60人近いスタッフが成功のために行動し、昨年に倍する参加を保証するよう準備している。福島や愛知、京都など、貸切バスを利用した地方からの参加も決まっている。フリーの団体、個人も自由に参加できるスペースを設けて歓迎する。
当日は午前11時半に最高裁周囲に集まり、12時から13時半まで集会・ヒューマンチェーンが実施される。当然、最高裁の建物内まで、判事にはスピーカーの声が届く。いい加減な判決で司法の責任を逃れようとしても、そうはいかないことをわかってもらわなければならない。
前日15日(日)には、シンポジウムと都内デモも企画されている。歴史を作る大きな運動に自ら身を置き、解放感と連帯感を実感しながら、変革の力にしていこう。(Y)
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