2025年10月17日 1891号

【戦争のためのスパイ防止法/高市自民・参政・国民民主が推進/憲法9条持つ日本には不要】

 参政党、国民民主党、自民党などの与野党が秋の臨時国会で制定をねらうスパイ防止法。10月2日、参院議員会館でその危険性を訴える集会が開かれ、共同通信の石井暁さんと海渡雄一弁護士が登壇した。

 石井さんは安全保障法制などの成立によって、法律的に台湾有事に参加できることが可能になったことを説明し、「その路線上に、『日本はスパイ天国だから』スパイ防止法が必要となった」と戦争するための法律であることを示した。

 特定秘密保護法施行以降に、石井さんが書いた台湾有事を巡る日米共同作戦計画の記事に関して、防衛省と自衛隊は情報漏洩(ろうえい)を危惧。記事の内容を知る幹部に対し、石井さんとの交流を調査する文書の配布や公用、使用を問わずパソコン、スマホの任意提出を求められることなどがあった。

 石井さんは「スパイ防止法が施行されたら、市民の権力監視というジャーナリズムの役割が果たせなくなってしまう」と危機感を強める。

 海渡さんは、特定秘密保護法との違いを「最高刑期10年の罰則に対し、自民党のスパイ防止法案4条の『外国通報』の場合は、死刑と無期で厳罰化されていること」とし、その外国≠フ定義を問題視。

 軍事一体化が進む米国に漏洩すると許されるが中国だと厳罰となる可能性を指摘し、「国際協調主義をとる憲法の下で、どのような法理で正当化できるかが問われる」と説いた。

 国民民主党のスパイ防止法案の柱である「外国勢力活動透明化法」に海渡さんは驚愕した。

 「外国勢力の日本国内でのロビー活動の内容や資金源を登録し、一部を公開する。登録に際しては第三者機関が点検、評価し、国会に報告する」。仮想敵≠ニされる中国、ロシア、朝鮮の外交官や民間団体などの活動の監視が強化されると、排外主義を助長するのではないか。

 海渡さんは「再生可能エネルギーを推進する団体がつくったパワーポイントの中に、中国企業について資料が一枚はいっていた。作成者は職を解かれた」という事例を挙げた。

 海外と交流する市民団体もスパイ視≠ウれる危険性をはらんでいる。

 福島みずほ、ラサール石井両参院議員は「スパイ防止法は非国民というレッテル貼りだ」と断じる。

 スパイ防止法がないのは世界で日本だけと言われる現状に対し、「九条を掲げる日本には必要ない」と海渡さんは強調した。

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