北海道旭川市から北へ約三十キロ。和寒(わっさむ)町の日本キリスト教団和寒教会の牧師を務める蔀(しとみ)雅二さんは、こう語る。
「闘争団は本当に真剣に、地域の人たちと結んで生きている。宗教もそういう人を無視しているようではいけない。地味な存在だけど心に響く人たちだ」
蔀さんは先の参院選結果を大変気にかけている。選挙の最中、ドイツ・ヴュルツブルグからやって来た独日親善シーボルト協会の一行と交流した時のこと。いたるところに貼られた小泉首相の大きなポスターを見た彼らは、「日本の政治状況は悪い」と不安げに語ったという。蔀さんは「選挙が人気投票のようで、政策で争われないことに外国人は危機を感じている。小さな政党や市民グループの『ちょっと待てよ、おかしいんじゃないか』という声が届きにくくなっている」と心配する。
日本キリスト教団和寒教会の蔀雅二さん
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靖国参拝許せない
宗教者として黙っていられないのが小泉首相の靖国参拝。「お参りをすることに宗教性がない、ということはない。しかし日本では、お参りをする行為にはっきりした信仰心があるかきわめてあいまい。小泉はそこを利用し、神社の側も自分たちは特別に国から支持されている、と誇示する。許せない」
蔀さんは、名寄市立短期大学の英語の非常勤講師でもある。「私は学生によく『外国に行きなさい』と言うんです。外国はどんな目で日本を見ているか、カルチャーショックを受けてほしい。知らないと、ボッーと過ぎていることを平和だと受けとめてしまう」。フィリピンで一月政変(エストラーダ政権崩壊)を偶然体験した蔀さんは「町を歩いている人々の目つきが鋭く、真剣に生きているまなざしを感じた。彼らは自分の国の危機を感じて体を動かすが、日本では危機感を感じながら行動にはなってない。若者も『今は失業が当たり前だから、フリーターでいいや』と。何とか希望のもてる社会に変えなければ」と熱っぽく語る。
頑張る人を大切に
「そういう私も、牧師だけやっていたら視野が狭くなっていただろうが、闘争団の人たちと出会って視野が広がった」。蔀さんにとって闘争団の支援は、希望のもてる社会づくりへの具体的な行動である。
蔀さんは言う。「四党合意はおかしい。おかしいことはおかしいと言わなければいけない。がんばってきた人の声が通らず、上の方で決められる、そんなことがまかり通れば“日本は大丈夫か”と思う。田舎から闘争団とともに中央に向かってアピールする存在でありたい」