辺野古の砂浜で行われた交流会
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五月三十一〜六月一日、沖縄県名護市東海岸の辺野古の浜を中心に“ジャンの海アシビ(ジュゴンの海遊び)”が繰り広げられた(主催・同実行委員会)。ジュゴンの海の豊かさ、すばらしさを体いっぱいに感じ、「この海に基地はつくらせない」との思いを分かち合うイベントになった。
「海兵隊撤退」報道
前日の三十日、地元紙は一面トップで「在沖海兵隊 大半撤退か」(沖縄タイムス)と、米紙が報じた米軍再配置計画を報道した。二十六日には環境省などの検討会が、琉球諸島を世界自然遺産の国内候補地の一つに選定している。
那覇防衛施設局が五月に予定していた海底ボーリング調査は、延期された。日本自然保護協会が調査地点にジュゴンの餌の海草藻場があることを明らかにし、SDCCが中止を求めて施設局と交渉するなど、世論の高まりの反映だ。新基地建設をやめさせ、ジュゴンの生息域を守る運動の意義が大きく高まる中で、海アシビは行われた。
後援団体の一つ、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)の蜷川義章事務局長は「海アシビを市民からの環境アセスメントにつなげたい」と語る。五月十日には「市民アセスなご」が発足し、市民の手による方法書(アセス実施の手法を定める計画書)づくりがスタートしている。「楽しい思い出にし、基地建設の動きに対して、ジュゴンを保護するために方法書に意見を言っていこう」と強調した。
大潮のマリンブルーの海。絶好の海アシビ日和の下、首都圏や関西からの参加者約五十人は地元の人々とともに、島遊びやサンゴ観察、ジャングサ(海草)ウォッチ…とジュゴンの海を満喫した。
「自然を残したい」
二そうのいかだの進水式で海アシビは始まった。約五メートル四方のいかだには、ジュゴンが大きく描かれた二枚の青いシートがはられている。島(長島と平島)へは船と何そうものシーカヤックで渡る。東京の高橋まりあさんは「平島の洞窟で見た海の青さは世界で一番か二番。さざ波にジュゴンがいる海を感じた」と声を弾ませた。大阪の長江子竜君は母親とシュノーケリング。「楽しかった。特にホンソメワケベラ(サンゴ礁の魚の一種)を見れたのがよかった」と目を輝かせる。
日本自然保護協会の吉田正人さんの指導で、海草の被度(繁茂率)の調査方法を学ぶ。大阪の山根富貴子さんは「見分け方が難しいが、ウミヒルモはすぐにわかり、楽しい。この自然を残したい」。海草を手に笑顔がはじけた。
サンゴ礁を一望する長島の丘で、案内役の目崎茂和・南山大教授は「このような場所に飛行場をつくる例はない。ジュゴンもサンゴも共生する生物たちもだめになる。サンゴ礁全体を守らなければ」と訴えた。基地予定地の真ん中に位置するマナヌ岩でサンゴを観察した東京の清家美佐子さん。「ここに基地ができるのかと想像した。多くのサンゴは死んでいたが、再生しようとしている。それがだめになる」と怒る。
誰もが基地はいらないの思いを強くした。東京の阿部まり子さんは「海草を食べるジュゴンの命を基地が脅かす。平和をつくり上げないといけない」と振り返る。
地元への励まし
海アシビは地元の人たちにも励ましとなった。命を守る会代表の金城祐治さんは「今回のみなさんの勉強が次につながる。ジュゴンの海を守ろうの声はさらに広がるだろう」。市民アセスなごの共同代表の一人、森山憲一さんは「体で実感したこの海の価値を多くの人に知らせてほしい。地元の人の理解と支持を得られるよう活動に力を入れたい」と語った。
船を操り大活躍したジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨さん。海アシビの成功を喜び、海兵隊削減の報道について「合理的なこと。自然をつぶす、今やっていることが不合理だ」と話す。
SDCC共同代表の宮城康博さん(名護市議)はアセスメントの動きをにらみ、「海アシビはとても楽しかった。基地をつくるためのアセスではなく、守るべきものを評価し、しっかりと守るアセスにしたいと思いを新たにした」と気持ちを引き締める。
ジュゴン保護の市民アセスは次のステップに踏み出す。