労基法改悪NO中央集会(5月28日・東京)
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製造業へ適用を拡大
六月六日、労働者の無権利化と総臨時工化を進める労働者派遣法の改悪案が成立した。
主な改悪点は、(1)派遣期間一年を三年に延長と(2)製造業への派遣の解禁だ。その狙いは、戦後の労働法制の原則の一つである「直接雇用の原則」(労働者を使用する者が直接雇用する)を完全に解体することにある。
派遣期間の延長は、一見すると労働者にとっていいことのように見えるが、その反対だ。派遣期間を制限しているのは、恒常的な業務は派遣ではなく直接雇用でという原則に基づくものだ。派遣期間の延長は、恒常的業務の派遣労働化につながる。
派遣労働の本質は派遣元(雇用)と派遣先(使用)の分離にある。派遣先では労働条件や仕事内容について何も言えない。派遣元によるピンハネ(中間搾取)は日常茶飯事。派遣労働は無権利の代名詞のようなものだ。だから、これまで対象業務が限定されてきたのだ。それが製造業への派遣もOKということになれば、対象業務は飛躍的に拡大し、「直接雇用の原則」は完全に形骸化する。
内閣府が五月に発表した「国民生活白書(デフレと生活−若年フリーターの現在)」によれば、フリーターは、一九九〇年の百八十三万人から二〇〇一年の四百十七万人へと大幅に増加している。
この背景には、新規学卒者の採用を手控え、派遣労働者やパートタイマーを拡大しようとする企業のリストラ策がある。新規学卒者の「拡大」を考えている企業がわずか九・一%であるのに対し、「縮小」を考えている企業は三五・四%にのぼる。また、派遣労働者・契約社員を「拡大」しようと考えている企業は三七・二%にのぼる。今回の派遣法改悪は、こうした企業のリストラ(総臨時工化)を後押しし、若年層の大量失業とフリーター化をいっそう加速させるものだ。
「解雇できる」は削除
企業が正社員を削減しパートタイマーや派遣労働者を増やそうとするのは、賃金や労働条件(企業から見ればコスト)が違いすぎるからだ。退職勧奨を受けて退職した女子行員が派遣労働者として同じ銀行で働くことになったが、正規の行員の年収五百万円から五分の一にダウンしたという例も報告されている(自由法曹団)。不安定雇用労働者の賃金水準や労働条件を改善することが急務だ。
首切りの自由化を狙った労働基準法改悪案は、「企業は労働者を解雇できる」という文言を削除するとの修正合意が成立した。これは、国際的な流れがむしろ解雇規制にある中で、余りにもむき出しの資本の勝手はさすがに強行できなかったということであり、反対運動の成果だ。
国際労働基準を掲げ、フリーター・若年層などとともに不安定雇用労働者の賃金・労働条件の改善をかちとる社会的な運動を広げていかねばならない。