国際法違反の占領に参入
六月十三日、小泉内閣は「イラク復興支援特別措置法案」を国会に提出した。
イラク新法案は「イラク国民による自主的な努力を支援」を名分に、自衛隊の従事する活動として「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」を定めている。
だが、同法の「支援」対象である米英軍の占領は、一片の正当性もない国際法違反だ。暫定占領当局(CPA)は六月一日、当初のかいらい政権構想であった「国民議会」開催さえも中止すると一方的に決定し、単なる諮問機関にすぎない「政治評議会」に置き換えると発表。さらに、「復興は連合国とイラク人のジョイント・ベンチャー(共同企業体)だ」(ブレマーCPA代表、6/10朝日)と、イラクをグローバル資本の露骨な利益追求の場とすることを隠さない。まさしく植民地支配だ。
日本政府はこれまで、相手国の占領や占領行政などは「憲法が禁じる交戦権の一部」(一九八〇年五月政府答弁)であり、要員の派遣はできないとの立場をとっていた。しかし、小泉はその答弁すら無視。憲法などかなぐり捨てて占領軍に加わり、グローバル資本のなぶり殺し戦争と支配に直接参加しようとしている。
米英とともに民衆殺戮へ
政府は「組織的、計画的でなければ戦闘行為と見なさない」と勝手に解釈し、「イラク全土が非戦闘地域だから武力行使との一体化にはあたらない」として自衛隊派兵を合理化しようとしている。しかし、こんな詭弁を誰が信じるだろうか。
強権的な占領支配に対するイラク民衆の抵抗闘争が激化する中で、米英軍は容赦ない武力弾圧を繰り返している。六月十二日からの大規模掃討作戦では百人近くが殺された。米軍自身が「イラク全土が戦闘地域」(マッキャナン米英軍司令官)と認めている。自衛隊による「安全確保支援活動」とは、米英占領軍の、この武力弾圧をともに遂行することを意味する。
政府は、武器・弾薬の陸上輸送を想定し、強力な無反動砲や機関砲を持ち込むことまで検討している。戦闘地域に重火器を持ち込んで武器・弾薬を輸送する。これは戦闘行動そのものだ。イラク新法は民衆を殺戮するイラク出兵法案なのだ。
国際連帯で派兵阻止を
米英占領軍の即時撤退なくして、イラクの平和と復興はない。イラク戦争反対を闘った世界の反戦運動も占領の即時中止を要求している。
大量破壊兵器はいまだに発見されず、米英議会で情報機関に対する調査が行われる。非人道的無差別殺傷兵器であるクラスター爆弾や劣化ウラン弾などの大量使用の事実も明らかになり、国際的批判も高まっている。イラク民衆の反占領闘争と結んだ国際連帯の力を結集し米英占領軍の撤退を迫っていかなければならない。
写真展などでイラク戦争の実相を伝え、米英日の戦争犯罪を暴き、民衆を殺戮するイラク出兵―新法を許さない行動をただちに開始しよう。戦争を生み出すシステムを変えていく国際的な運動と連帯し、国会要請、署名、電話・ファックス・メールや自治体決議など、地域から共同行動を拡大しよう。
(六月十五日)