2003年06月27日発行794号

【米UFPJ(平和と正義のための連合)が大会 最大の反戦団体が闘い継続】

 イラク反戦で空前の規模となったアメリカ反戦運動。この「スーパーパワー」をリードしたUFPJ(平和と正義のための連合)が六月六〜八日、シカゴで初の全国大会を開催。ブッシュの戦争と闘う今後の方針を決定し、米国最大の反戦運動組織を発足させた。日本からMDS(民主主義的社会主義運動)代表も出席した大会について、大阪の土屋典子さん(ぐろっぴぃ)に寄稿してもらった。

 UFPJは二〇〇二年十月に設立され、ベトナム反戦以来といわれる巨大な米国反戦運動を作り出してきた。宗教グループ、学生グループにコードピンクなどの女性団体、緑の党のような政党から各種反戦組織までが参加する米国最大の運動連合体だ。

 これまで暫定執行委員会のもとに運営が行われてきたが、今回シカゴで開催された第一回大会には、全米から三百ものグループの代表五百人以上が参加し、むこう十八か月の戦略と、運動を継続していくための方針が討議された。

 大会で特徴的だったのは徹底的な討議によるものごとの決定だ。参加者全員による組織体制についての討議や、二十八個も修正案の出された上での「統一声明」の採択。一つの議題をめぐって、賛否両論激論する。スケジュール変更もおかまいなし。徹底的に意見を出し合い、互いに納得を働きかけるプロセスがあり、組織運営の中に民主主義が貫かれていることを感じた。

シールで投票

初の全国大会を開催
写真:黄色いカードを手に挙手をする会場いっぱいの参加者

 大会のハイライトは、UFPJが優先して取り組む行動方針を決める投票。グローバルエクスチェンジ発案の「イラク占領監視センター建設」も提案されていた。

 提案は事前に募集され、初日に各グループから出された八十三個すべての行動提案書がどっさり配布される。それらはイラク占領問題、活動と芸術、大学の軍事化など八つのカテゴリーにわけられ、分散会で意見交換がなされる。そして、最終日の全体討議にかけられる。

 この幅広い多様な参加者の全員討議で方針がきちんとまとまるのかと思いきや、投票にはなんと「シール投票」という方法が用いられた。全員に五枚の緑シール(賛成)と赤シール(取り組むべきでない)一枚が配られ、壁に貼り出された模造紙にペタペタ貼っていく。

 もっとも投票が集中したのは、「愛国法」という、対テロ戦争を口実に市民の言論の自由や移民の権利を脅かす法律に対するキャンペーンと、WTO(世界貿易機関)閣僚会議中の途上国支援キャンペーン。その他、投票が多かったのは、二〇〇四年の大統領選挙への市民大会開催、パレスチナの公正、核軍縮、大学の軍隊勧誘との闘い、イラク占領監視センターなどなど。

共同行動で運動

 最後に、UFPJの初の全国運営委員選挙が行われ、三十五人が選出された。運営委員の構成は

、女性が五〇%、有色人種五〇%、二十五歳以下の若者に二〇%の枠を設けると決定。追加提案として出された、「ゲイやレズなど差別を受けるセクシュアルマイノリティーが一五%以上を占めるように」という項目も付け加えられる。社会的に差別、抑圧され、より下から闘っている人々にきちんと発言権と決定権を確保することが、運動に多様性を持たせその幅を強くするのだという。

 大会全般を通じて、今後いかに平和運動と社会的公正を求める運動を合流させていくか、ということが主要テーマの一つとして話し合われていた。戦略的基本方針の文言にも「他の新たな連合はいらない。既存のグループ間の共同行動をとり、運動を構築していくことが必要だ」とあり、ANSWER、反戦労働者連合、Not In Our Name などアメリカを代表する他の連合との共同も呼びかけられている。また、国際間での運動の共同も必要である、と。

 イラク反戦を通じて「スーパーパワー」となってきた平和運動と、世界の公正を求める運動との共同を起こしていく流れこそが、今の世界の本流である。

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