北海道の最北端にある稚内闘争団。イカの一夜干しを軸とした水産加工事業活動を飛躍的に拡大させ、自立した闘争を進めている。
稚内闘争団は水産加工工場の増築工事を完成させ、新たな事業に踏み出している。団長の万城目匠(まんじょうめ・たくみ)さんは「事業活動の収入は七〜八年前の三分の一に落ちた。販路拡大と新製品開発が課題だった。工場拡張は長期的自活体制の第一歩を踏み出す取り組みだ。協同倶楽部と連携していくために、水産加工の面で何ができるかも重要な課題だった」と振り返る。北海道は今、土木事業が下火で、アルバイトの警備も他の業者が参入しダンピングで厳しい状況にある。生活を支える上で新たな事業計画は不可欠の課題なのだ。
増築工事といっても設備投資に回せる財源はない。一昨年から古材料を集め、昨年五月から自前で工事をスタートした。隣家の町会長が電動工具を持参し、大工さんや板金屋さんが材料の調達と格安の労務提供を申し出てくれた。 今年二月、ついに倍の広さの新工場完成。「素人でなかなか進まなかったが、多くの人たちの支援と協力があってできた。団員みんなで作り上げた」と万城目さんは運動の広がりを実感する。同時に、保健所から冷凍加工食品製造販売業の認可を取得し、本格的な水産加工製品作りに乗り出した。
手作業で増築工事に取り組む団員
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目が回るほどの忙しさ
新商品の目玉は、イカとタコ、ホタテの「刺身三昧セット」とイカの塩辛。年末にはイクラの醤油漬けも売り出す。 工場責任者の竹谷勝二さんは商品開発の苦労を語る。「毎日が目が回るほどの忙しさ。地元の魚屋さんから『切り身でないと売れない』とアドバイスを受け刺身セットにした。皮をはぐのも難しい。すぐに食べられるには完全に薄皮までむかないといけない。イカの切り方も縦切り、横切りと工夫した。試行錯誤しながら一人で一日二十五パックは作れるようになった」。保健所からの指導も厳しく、衛生管理に万全を期しているという竹谷さん。「販売が上がれば要員も増やせる」と、期待を込める。
事業活動とともに闘争体制も強めた。「今まで地域運動は共闘会議に任せていた。六月から闘争団として定期的な街頭宣伝行動を再開した」と万城目さん。東京千代田区・中央区と仙台の常駐オルグを続け、闘いの拡大を目指している。竹谷さんは「四党合意による二年間の闘いのブランクは許せない。しかし、仲間がいるのがわれわれの強み。新たな気持ちで事業を軌道に乗せ闘いを強めていきたい」と決意を語る。国労本部による生活援助金カットや統制処分攻撃にも揺るがず、国鉄労働者千四十七名の解雇撤回・JR復帰をめざす。