イラク反戦運動は欧州でも各国政府を揺るがした。MDS(民主主義的社会主義運動)国際連帯集会に参加したドイツ民主主義的社会主義党(PDS)は、イラク戦争に対し国際法で断罪する法廷設置を提案している。同党国際関係・国際政治部のウルリッヒ・ラムベルツさんにうかがった。(五月二十六日)
Q ドイツでもこの間、反戦 運動に変化がありましたか。
重要な変化は、他の国同様、"戦争を始まる前に止めよう"という行動となったことだ。多くの人の心にイラクで起こりつつあることの危険性への認識が広がり、世論調査でも大多数が戦争参加に反対した。その声がシュレーダー首相の戦争に参加しないという態度表明につながった。
五十万人に達した2・15デモには、これまで政治的な集会や活動には参加してこなかった人も参加した。ギムナジウム(高校)の生徒が自分たちで話し合って学校に行くのをやめ集会・デモに出たように、若者やこどもたちも世界が危険になっていると感じたのではないか。
Q 国際連帯集会の印象をお 聞かせください。
私たちPDSのような立場の人間だけでなく、方向性も若干異なるアメリカや韓国の運動団体が参加していたのはとても興味深い。イラク・アフガン戦争からジュゴン・米軍基地・インドネシアの問題など、多様な課題に取り組む人々が一堂に会していた。団体の見解を紹介・交流するだけでなく、具体的な行動を取り決めることができ、実りある論議だったと思う。
Q 今後の運動の方向性につ いて、PDSは国際法の役 割を強調していますが。
今回のイラク戦争を道徳的に糾弾することはもちろんだが、新たな戦争を阻止する強制力をもった手段を作りだすことが必要だ。戦争に加わった米英その他の国に対し、国際法違反の判定を下さねばならない。国連を米国の「道具」にさせてはならないし、国際社会の共同で紛争解決の枠組みを作り出していくことが重要だと考えている。
(米英が経済制裁解除などを提案した)五月二十二日の国連安保理決議について、PDSはその翌日「誤った方向を向いている」という声明(別掲)を発した。この安保理決議では、イラク戦争に対し有罪判決が下されていない。
侵略戦争と国際法違反の罪を糾弾するために、本来なら国際的な司法機関が動くべきだ。だが、現在の力関係の下で確実に活動できる保証がない以上、PDSは、平和運動などに対して、有罪判決を下せる法廷(声明では「ブッシュを裁く法廷」)を設けることを提案している。
―ありがとうございました。