「戦争のあとではすべてが変わる」―このような見解が、アメリカの提案によるイラク決議に同意した国連安全保障理事会の多数派を突き動かしたのかもしれない。これは、国連の権威の深刻な後退を意味している。イラク問題を解決する権限はもっぱら国連の手にもどされなければならないという、多くの諸国家、非政府組織、反グローバリゼーション運動や平和運動の要求は実現されなかった。それどころか、アメリカの占領当局の地位は正当化され、国連の役割は民間部門での支援に限定された。
以下の点が確認されなければならない。
1.イラクに対する戦争は、国際法に反する侵略戦争であった。
2.イラクが大量破壊兵器を保有していたという証拠は、今日にいたるまで見つかっていない。
3.アメリカが世界の世論をくり返し重大な仕方であざむいてきたことは明らかである。
4.アメリカはイラクの石油利権を確保する決定的な権利を、すなわち利権の規模、価格、買い手を決定する権利を獲得した。これによって、アメリカは初めてOPEC(石油輸出機構)に対する、あるいはOPEC内部での影響力を手にした。
5.民間人の犠牲者の数、産業基盤や自然や文化の破壊について報告することを、アメリカは拒否している。
6.イラクにおける国家権力をイラク民衆に対していつどのように返還するかを、アメリカは完全に意のままにしている。
アメリカが持ち込んだ決議案に同意したことによって、ドイツの連邦政府はその独自の立場を弱めることになった。連邦政府は、決議の実行にどう貢献するかという問題に直面させられるであろう。NATO(北大西洋条約機構)の分担の枠内で連邦軍の兵士をイラクに派兵せよという要求も、すでに現われてきている。
PDSはイラクの戦後秩序に関する国連決議を批判し、イラクにおいて――いかなる装いのものであれ――軍事的関与をいっさい行わないことを連邦政府に要求する。
ドイツの支援は、民間人のための支援に厳しく限定されなければならない。
イラクからの戦争難民を追放してはならない。
イラク戦争の背景について解明がなされなければならないにもかかわらず、それは国家によっては行われなかった。PDSは平和運動に対して、国際的な「ブッシュを裁く法廷」を設けることを改めて提案する。
2003年5月23日