焦る米国と移行政権
米国とイラクのジャファリかいらい移行政権は、近くバグダットで「武装勢力掃討」の名で過去最大規模の「稲妻作戦」を実施する。この作戦は、イラク軍4万人、米軍1万人による徹底したローラー作戦だ(5/27読売)。米占領軍はすでに、シリア国境沿いの街カイム攻撃や、バグダット西部のハディサ攻撃で住民を大量に虐殺している。
なぜ今、大規模な「掃討作戦」なのか。
移行政権側は、4月以降急増した無差別テロを抑え込むためとしている。だが、真の狙いは、3月バスラ大学での闘いやイラク自由会議の結成など、占領反対、政教分離、基本的人権を求める住民・労働者の闘いを弾圧するためだ。
5月15日、ライス米国務長官が突如イラクを訪問した。元CIA(米中央情報局)エージェントのアラウィらが衰退する中で、ジャファリ(シーア派政党)―タラバニ(クルド愛国同盟)という宗派的民族的野合政権にてこいれし、自らの権益を守るためだ。バグダットの「大掃討作戦」と多国籍軍駐留延長は、このとき決められた。さらに、スンニ派勢力を移行政権に取り込ませ、破綻あらわな米国の占領支配継続を狙っている。
人民の未来を築くIFC
イラク人民を抑圧するかいらい移行政権に未来はない。イラク人民の未来はイラク自由会議(IFC)にある。
イラク自由会議は、労働者の雇用確保や労働基本権の確立をめざして闘ってきた労働組合や女性の権利侵害と闘う団体など市民レジスタンス勢力が中心となって、3月18日に結成された。政教分離の民主的政府樹立を掲げ、占領反対、武装集団の解体、宗教財団の財産没収、女性や社会的弱者の基本的人権の保障などを目標にしている。
イラク自由会議の方針はイラク人民の声であり、国民の半数以上が投票しなかった国民暫定議会で選ばれたジャファリ政権の脅威となっている。一方、占領軍の決めた移行プロセスは、8月中旬までに憲法草案を作成、10月中旬までに国民投票で決定、12月中旬までに新政権をつくるための総選挙というもので、民衆は全く支持していない。米国や移行政権は非常事態宣言や掃討作戦でその強行をもくろむが、思惑通りには進まない。
自衛隊撤退・IFC連帯
安全と自由・権利を求めるイラク民衆と連帯する主要な課題は、自衛隊即時撤退とイラク自由会議支援である。
サマワでは、陸上自衛隊車両に住民から投石があり「日本に死を」などの落書きが頻発している。地元住民の目に、占領軍としての自衛隊の姿が明らかになってきているからだ。自衛隊の発砲で民衆を殺させてはならない。血塗られた移行プロセスを許さぬためにも、全占領軍の即時撤退を実現しなければならない。
また、イラク民衆の願いを体現するイラク自由会議の目標を広く伝えよう。自由会議は、占領軍の殺りくにも武装勢力の無差別テロにも反対し、移行プロセスが占領軍そしてそれと手を結んだイスラム政治勢力の権益を守るための政権づくりであることを暴いている。占領軍撤退、政教分離の民主的変革を切りひらく市民レジスタンス勢力・イラク自由会議支援をこの日本で広げよう。 (5月28日)