戦後60年。アジア各地の元「慰安婦」は、謝罪と補償を要求し闘い続けている。韓国・台湾・フィリピン3か国の被害申告者約900人のうち少なくとも165人の死亡が確認されており、生きている間の一刻も早い解決が求められる。
「日本の過去の清算を求める国際集会」(5月20日・東京)
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韓国では1992年1月8日から始まった日本大使館前水曜デモが14年目を迎え5月4日で655回を記録した。
台湾では、日本政府の謝罪と補償を求める国連人権委員会あての「世界百万人署名」を1万筆集めた。また、8月10日から台北市内のデパートで「慰安婦」をテーマにした写真展を開き、8月15日には日本大使館前での大デモンストレーションを企画している。
フィリピンでは、日本での補償立法制定を促す対国会アクションに取り組み、日本の常任理事国入り反対を訴える署名を1万筆以上集めた。
アメリカでは「従軍慰安婦問題に関するワシントン連合」が中心となって3月、日本政府の公式謝罪・法的賠償、常任理事国入り反対のデモを連邦裁判所前で展開。理事国入り反対の4千万人インターネット署名も取り組んだ。
幕引きはかる日本政府
一方日本政府は、国家責任を不問にするために設立した「女性のためのアジア平和国民基金」(民間基金)の2007年解散発表をもって「慰安婦」問題の最終的な幕引きをはかっている。
5月20、21日、都内で開かれた「『戦後60年』・被害者とともに日本の過去の清算を求める国際集会inTokyo」では、民間基金の不透明性、強引な「支給」が告発された。
韓国のシン・ダリョンさんは、98年11月16日にある男から被害者認定書、住民登録のコピー、印鑑を提出させられ、口座を作らされた。「私は文字も書けないので書類がどういうものかわからなかった。男は『そのうちに大金が入ってくる』と言ったが、入金も連絡もなかった。後で、国民基金を受け取ったといううわさが流れて意味がわかった」。シンさんは4月7日国連人権委員会で証言した。
台湾の元「慰安婦」は、「『みんなが国民基金を受け取っているから、まだの人は手続きをするように』とウソの宣伝をされたが、私たちは話し合って誰も受け取っていないのが事実だ。あくまで正式な謝罪と補償を求める。解決のためには立法化しかない」と訴えた。民間基金による「解決済み」のでたらめさが明るみに出ている。
「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」は2月28日に参議院に提出された。2001年以来、6回目の提出だ。同法案については、韓国国会・台湾立法院・フィリピン下院外交委員会が早期成立を求める決議を採択している。今国会で審議入りさせるよう国内外の共同行動が問われる。