西宮市・無防備条例案直接請求へ　２万４９０筆を提出

　西宮市に平和・無防備条例を実現する会は６月２日、直接請求署名２万４９０筆を西宮市選挙管理委員会に提出した。

　１か月の署名期間中に約６００人の受任者が市民一人ひとりに語りかけて集めた署名数は、法定数の約３倍だ。

20490筆の署名を手渡す四津谷薫さん（６月２日・西宮）

市民こそ主人公

　請求代表者の四津谷薫さんが声明文を読み上げる。

　「この署名活動を通じて、武器を持たない市民こそ戦争のない社会を創り出す力を持つ主人公であることが明らかになりました。憲法を生かし、国際人道法に基づき戦争なくす平和な街づくりを市民の手で創り出す決意が市に届けられたのです」

　夕方には、署名提出報告集会を開いた。

　「なによりうれしかったのは、この年齢になって友だちができたこと。めっちゃ、うれしい。町会長にお願いにいったら、『やっているよ』の返事。請求代表者の松井幸雄さんがあたっていた。早くから松井さんを知っていたら、もっと連携がとれたのに。次も何かできないか、と考えている」。こう語るのは、茂木三夫さん。

　横で妻の幸子さんも、「主人は『青春、青春』と言っていた。私も署名は初めてで、市役所前で一日中立って、帰ったら、フニャフニャ。年齢かな。でも、市外からのベテランの応援で、署名活動にもいろいろなスタイルがあるのがわかり、楽しかった」と振り返る。

議会・議員の説得へ

　論議は、条例を実現するための議会・議員説得活動に移った。

　「あの会派は失礼すぎる。直接請求の意味が分かっていない」。憤りをあらわにしたのは、署名提出後に議会各会派あいさつ回りに参加したメンバー。

　ある会派は、「条例を提案するなら事前に相談すべきでしょう。署名をたくさん集めたからといって、一たん出した会派の立場は変わりません。今さら来られても、むつかしい」と高圧的な対応。

　枚方市の請求代表者の大田幸世さんがアドバイス。「２万筆の重みは、思っている以上に大きい。枚方では後で分かったことだが、各議員がハガキを何枚もらったとかが話題になっていたらしい。議員は市民の声をおそれている。２万筆に自信をもっていいと思う」

　議員名簿が配られ、今後の取り組みの意見が出る。

　「会派を回るのもいいが、まず議員一人ひとりと対話をしていこう」「予想される反対意見に対する回答を準備し、学習を積み重ねよう」「報告ビラを配布し、地域で網の目報告会を開こう」「６００人の受任者を一同に集める受任者大会を開こう」「議会の傍聴も大切。賛成議員への励ましにもなる」

　最後に呼びかけ人代表の小川友弘さんがあいさつ。

　「まず西宮で条例を実現。そして、この無防備地域宣言運動を点から面の運動へと発展させていくべきです」

市民レジスタンスと連帯

　実現する会は署名期間中もイラクの市民レジスタンスとの連帯を訴えてきた。

　６月５日大阪で開かれた「進め！イラク自由会議　ＭＤＳ国際連帯の集い」に西宮の実現する会のメンバー20数名が参加。１週間で完成した報告集を販売し、無防備運動を各地で広げることをアピール。報告集編集にかかわった福岡祥子さんと日高明さんがイラク自由会議サミール議長とエルハムさんに激励物を渡し、がっちりと握手した。

【京都市民の会結成　自衛隊基地は撤去を】

　「無防備地域宣言をめざす京都市民の会」が５月29日に結成された。

　50人が参加した結成の集いでは、条例案も提案して意見交換をした。

　呼びかけ人代表でもある大阪経済法科大学の澤野義一教授が条例案の特徴を講演した。

　条例案は第７条に文化財の保護の項目を入れ、「文化財が戦争によって破壊されることを防止する措置をとる」としている。

　「京都には世界遺産の文化財がたくさんあり、政府も文化財保護を宣伝している。しかし、日本政府は『武力紛争における文化財保護条約』に１９５４年調印しながら、批准をせず発効させていない。国際会議ではいつも、なぜ批准しないのかと批判されているらしい」と澤野教授は指摘する。

10月29日から署名

　第２のポイントは、自衛隊桂基地の存在だ。条例案第４条の市の責務には、「軍事目標の撤去ないしは戦時における機能の停止を日本国政府に求める」とした。

　事務局長の石田哲夫さんは、「自衛隊基地を除外して無防備地域を指定する方法もある。しかし、桂基地は住宅地の中にある。しかも、現在桂基地からイラクに自衛隊が派兵されている。それを避けることはできない。あえて撤去させるという方向を出した」と説明する。

　11区ある京都市で直接請求に必要な法定数は２万３０００筆。会では７万筆を目標にする。署名期間は10月29日からの１か月間と設定した。