基地の島・沖縄でも無防備運動が始まった。
6月11日、那覇市内で「無防備地域宣言を 沖縄から!―ジュネーブ条約第1追加議定書59条による非戦の約束」と題した学習会が開催された。主催は、この2年間アフガニスタン・イラク国際戦犯民衆法廷・沖縄公聴会を取り組んだ仲間が先月立ち上げたばかりの「無防備地域宣言・沖縄ネットワーク(準備会)」。沖縄県内では初めての取り組みだ。
前田朗さんの講演を聞く参加者(6月11日・那覇)
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ビデオ上映に拍手
沖縄ではほとんど誰も聞いたことがない無防備運動がどのようなものか。新聞報道などで学習会を知った約60人の市民が集まった。
冒頭に上映されたビデオ「無防備地域宣言−『大阪市民の会』の30日」では、刻一刻と署名数が積み上げられていく場面に、会場からも同じように拍手がわく。
講師にかけつけた東京造形大学の前田朗さんから約1時間の講演。沖縄でも、武器を手放した国コスタリカについては市民団体が交流したり学習会が持たれたこともあったが、「世界に27の非武装国家」の説明や無防備地域宣言をはじめとする国際人道法の基本的な考え方などの詳しい説明に参加者は熱心に耳を傾けた。
最南端の竹富町から
ひときわ注目を集めたのは、日本最南端の町・竹富町から参加した田中むつみさんと嘉陽恵美子さんからの報告。
憲法9条の学習会を2人で細々と続けていたが、これで本当に9条を守れるのか、悶々とする中で、ある日飛び込んできた「無防備地域宣言」という運動。「この運動なら自信を持って広げていける」と田中さん。「憲法を地域から実現する、実体験するこの運動に希望が見えた」と嘉陽さん。2人は早速、友人にこの運動を伝える中で、ひと月前に「竹富町無防備地区宣言条例制定をめざす準備会」を発足させた。
竹富町は、那覇まで300キロ。しかし台湾までは100キロのところに位置する。「国境の町だから無防備運動が切実」と2人は語る。今後、学習を積み重ね、議会で過半数を超える賛成で条例制定をぜひとも勝ち取りたいという2人の決意に会場からは熱い拍手が続いた。
秋にネットワーク結成
「沖縄ネットワーク(準備会)」は、7月3日にも那覇市内でシンポジウムを開催する。沖縄での無防備運動を広げ、学習会を続けながら今年秋には正式にネットワークを結成する予定だ。さらに竹富町の隣の石垣市でも学習会が始まったという。
基地の島・沖縄から、琉球王朝時代からの伝統であった非武の島・沖縄をめざす。新基地建設や基地被害にあえぐ沖縄県に新しい平和運動がスタートを切った。