【声明】アフガニスタン政権崩壊はグローバル資本の戦争政策敗北 タリバンの暴力支配を許すな 自衛隊派兵・軍事介入を即時停止させよう
2021年8月28日
MDS(民主主義的社会主義運動)
2021年8月15日、アフガニスタンではタリバンが、米軍の撤退の中で一気に全土を制圧して首都カブールを陥落させ、前政権は崩壊した。タリバンは新政府樹立へと進んでいるが、彼らは早速抗議デモに発砲し市民を殺害している。
事態の持つ最大の意味は、アフガニスタン戦争・占領を引き起こしたグローバル資本の「対テロ」戦争政策が敗北したことである。
タリバンは元々パキスタンに育てられアメリカとも結びついていたイスラム主義勢力の武装集団であり、1996年からアフガニスタン全土を支配し、女性や子ども、市民の人権を弾圧し君臨していた。01年、9・11テロ攻撃事件を口実に米国をはじめ「有志連合軍」がアフガニスタンを攻撃してタリバン政権を倒し、占領政策を進めた。しかし、米国が育成した傀儡政権は腐敗にまみれ市民の生活も人権も抑え込み続けた。
今回のタリバン支配の復活、女性、市民の人権抑圧と暴力支配再来の事態を招いた責任は、米国とその戦争・占領政策を支えたNATO(北大西洋条約機構)諸国や日本にある。
米国と「有志連合軍」はアフガニスタン戦争とその後の20年間の占領期間に無差別の空爆と市民殺害を続けた。01年から15年までの民間人犠牲者は少なくとも2.6万人(米国・ブラウン大)、09年から19年の民間人死傷者は10万人以上(国連)と推計されている。
日本の小泉政権(当時)は、「後方支援」としてインド洋に自衛隊の艦隊を送り、米軍などによる空爆のための燃料供給を続けることで実質的に参戦した。02年には東京で「アフガニスタン復興会議」を開く。「復興資金」としては最大である日本の5億ドルを筆頭に、欧米、IMF(国際通貨基金)、世界銀行などから30億ドルの提供を表明し、腐敗政権を支えた。グローバル資本は、占領を続けることで中東の石油資源をはじめとした地下資源などへの支配権の強化と250兆円にも上った軍事費による軍産複合体の利益確保を狙ったのだ。
アフガニスタンの女性・市民は、タリバンの支配に反対してデモを展開し闘いを開始している。この市民、女性、労働者、社会変革をめざす民衆と連帯し、タリバンの人権抑圧と暴力支配を許さない国際的な監視を強め、真のアフガニスタン再建、民主化を勝ち取っていかなければならない。
日本政府は、〝邦人救出〟の名目で自衛隊機に100人以上の「武器を携行」(8/23岸防衛相)した陸上自衛隊部隊を載せてアフガニスタンに派兵。これは、武力行使の可能性を表明しているに等しい。即時撤退させなければならない。
菅政権は、イラクの腐敗政権にも新たな援助資金の提供を表明している。アフガニスタン戦争やイラク戦争に米軍、自衛隊は日本各地、沖縄から出撃した。辺野古新基地建設反対、ZHAP(ZENKO辺野古プロジェクト)の闘いと一体のものとして、アフガニスタン民衆と連帯し、日本政府の戦争策動を止めよう。
声明に関する問合せ先:MDS(民主主義的社会主義運動)